視能訓練士になるには

  • 2019.12.25
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視能訓練士の概要や仕事内容

視能訓練士とは?

視能訓練士は目に関する検査や視力の訓練を行う国家資格です。
弱視や斜視(右目と左目の方向が病的にずれる症状)の視機能検査や視能矯正などを行う専門職で、乳幼児から年配の方まで年齢を問わず目の健康管理をする役目を果たしています。

視能訓練士の仕事内容とは?

では視能訓練士がどのように目の健康管理をしてくれているのか具体的な仕事内容をみていきましょう。

●視機能検査
医師の指示のもと、医師の診断・治療に必要な検査を行ってデータを提供して補助を行います。

人間にとって目はとても重要な器官で、その作りはとても複雑です。
そのため目の検査には多くの種類があります。
代表的な検査は次のようなものがあります。

・視力検査…
片目を隠してランドルト環(「C」のような形)やひらがななどを判別して視力を測る、学校の視力検査などで行われるよくある検査です。メガネやコンタクトを作る際にも行われます。

・屈折検査…
目に入る光の屈折率を測る検査です。よく眼科で機械に映る遠くの気球(などの絵)を眺める検査が行われることがありますが、あれが屈折検査です。近視・遠視・乱視の度数を測ったり、目の形状、視力障害の程度を調べたりすることができます。

・眼圧検査…
眼球は「房水」という液体によって圧力が保たれています。
眼圧検査では眼球の内圧を測定して緑内障(視野が狭くなり、失明の可能性がある病気)などの検査をします。
眼科では目に空気がプシュッと吹きかけられる機械で行われるのが一般的です。

・視野検査…
目を動かさずにまっすぐ前を見たときにどれぐらいの範囲が見えているかを調べる検査です。

・眼底検査…眼底とは目の奥のことです。
眼底は身体の中で血管や神経細胞層を直接観察できる唯一の場所です。
また、眼底の血管は脳の血管の状態と似ているため、眼球の病気だけでなく、脳腫瘍や糖尿病などを見つける手掛かりになります。高血圧や動脈硬化の進行度を見る手掛かりにもなります。

他にも角膜形状検査や電気整理検査、超音波検査など様々な視機能検査があります。

●視能矯正
弱視や斜視の検査・訓練を行います。
視覚が発達する年齢は限られているため、弱視や斜視は学童期までの早期に視機能検査を行って発見することが重要です。
そして発見した症状に対して視力の向上や正常な両眼視機能取得のための治療や視能訓練が行われます。
例えば弱視に対しては眼鏡矯正、健眼遮蔽法など、斜視に対しては固視訓練、抑制除去訓練などが行われます。

●健診・検診業務
母子健康センターで行なわれる3歳児健康検査や学校や会社で行われる定期検診、生活習慣病検診(※)などの健診などに参加して、眼疾患の早期発見に貢献します。
※生活習慣病によって起こる目の合併症(糖尿病網膜症など)があるため。

これ以外にも視力が低下してしまった方の視力の回復や維持、進行を抑えるなどを目的としたリハビリテーションや、患者さんに合わせた補助具(遮光眼鏡、拡大鏡など)の選定、日常生活の工夫のアドバイスなども行っています。

視能訓練士になる方法(資格取得方法等)

視能訓練士は国家資格です。受験資格を得たうえで国家試験を受けて、合格後に免許を申請・取得することで視能訓練士を名乗ることができるようになります。

受験資格は以下の条件を満たした人が得ることができます。
①視能訓練士養成所を卒業した者
高校卒業後、文部科学大臣が指定した学校または都道府県知事が指定した視能訓練士養成所(4年制の大学や3年制の専門学校など)で3年以上視能訓練士として必要な知識・技能を修得した者。

②短大卒以上で視能訓練士養成所で1年以上修業した者
大学や短大、看護師などの養成機関で指定科目(※)を履修したのち、文部科学大臣が指定した学校または都道府県知事が指定した視能訓練士養成所において、1年以上視能訓練士として必要な知識・技能を修得した者。
※指定科目は次のとおりです。
必須科目…外国語、心理学、保健体育、生物学、物理学、
数学(統計学を含む)
選択2科目…教育学、倫理学、精神衛生、社会福祉、保育

③外国の視能訓練士学校を卒業した者
外国の視能訓練学校や養成所を卒業した者、または外国で視能訓練士の免許に相当する免許を受けた者で、厚生労働大臣が①や②と同等以上の知識・技能を有すると認めた者。

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資格難易度や試験について

試験について

視能訓練士の国家試験は毎年2月下旬ごろ行われます。
合格率は2009年から2018年の10年間の平均は89.9%と高めです。
最低合格率は2012年の73.5%、最高合格率は2018年の98.2%と多少開きはあるものの、大きく合格率が下がったのは2012年だけで他の年はほぼ80%台後半以上の合格率となっています。
尚、新卒者だけの合格率だと2018年の合格率は99.4%であることからわかるように、そもそも受験するためにはきちんと養成校や養成所を卒業する必要がある試験ですので、しっかりと勉強をしていれば合格できる可能性が高いと言えます。逆に既卒だと合格率が下がってしまいますので、新卒時に一発で合格できるようにしておくべき試験だともいえます。

●試験の概要
※下記は2020年度の試験の日程です。
受験書類の配布:2019年10月下旬以降。
受験願書や受験手続に必要な書類は各学校養成所もしくは視能訓練士国家試験運営臨時事務所の窓口で入手するか、視能訓練士国家試験運営本部事務所や視能訓練士国家試験運営臨時事務所、厚生労働省医政局医事課試験免許室に郵送で請求して入手することができます。

受験書類の受付:2019年12月16日(月曜日)から2020年1月6日(月曜日)までに視能訓練士国家試験運営本部事務所あてに簡易書留で郵送、または視能訓練士国家試験運営臨時事務所に書類を持参します。

試験日程:2020年2月20日(木曜日)

試験地:東京都、大阪府

試験科目:基礎医学大要
基礎視能矯正学
視能検査学
視能障害学
視能訓練学
※一般問題が129問、1問1点で129点。臨床問題が20問、1問2点で40点の計169点満点で、102点(60%以上)取得で合格となります。

合格発表:2020年3月23日(月曜日)

今後の視能訓練士の将来性

日本眼科学会によると、日本には最大で約2,200万人にもなるドライアイの患者がいると言われています。
特にオフィスワーカーに関しては3人に1人はドライアイという報告があり、年々増加傾向にあるそうです。
また、高齢化に伴い目の疾患を抱えている年配の方が増えていることや、視機能に問題が生じる糖尿病や花粉症などの有病率も高くなっていることなどからも眼科のニーズは増えてきています。つまり、眼科などに就職する確率が高い視能訓練士のニーズも増えるということですので、この先の将来性は十分にあると言えるでしょう。

視能訓練士の就職先

視能訓練士の主な就職先は病院などの医療機関です。
そのうち国公立の医療機関が33%、個人病院や眼科クリニックを含む私立の医療機関が62%で、その半数以上は眼科クリニックに就職しているそうです。

医療機関以外だと健診センターや保健所、リハビリセンター、大学などの研究機関、視能訓練士養成施設の教員など、様々な場所で視能訓練士が活躍しています。

視能訓練士に向いているのはこんな人

視能訓練士の仕事は医師の指示をもとに行われます。
検査の内容や矯正訓練の内容は医師の指示に基づいて正しく効率よく行い、医師の診察に繋げていかなければなりません。特に眼科クリニックであれば外来の患者さんも多く、一人でも多くの患者さんを多く診察するには高い効率が求められることがあります。
そのために必要なのはコミュニケーション能力です。
眼科の医師や看護師だけでなく、たとえば糖尿病患者さんであれば内科医や脳外科医、薬剤師、事務職など、様々な医療関係者とチームで医療を行っていくことになります。
このチームの人たちと上手に連携を取って効率よく検査し診察につなげることができる高いコミュニケーション能力が求められるというわけです。

また、視機能に問題を抱えてしまった人は大きなストレスを抱えてしまうことがあります。患者さんにどういった症状があり、どのような苦しみがあるのか…など、患者さんの気持ちに寄り添ってあげることができる優しい心と、目が見えにくいために歩きづらい方などに手を貸すことができるといった気遣いなども求められます。

そして、眼科の検査には多くの機械を扱います。
機械の使い方をきちんと覚えて正確に扱えること、またその機械から出た数字の計算を行えることなど、機械の扱いや計算に長けている人というのも大切な条件です。
どちらかというと、機械が苦手な人は視能訓練士にはあまり向いていないといったほうが早いかもしれません。

視能訓練士に関連する資格

●認定視能訓練士
認定視能訓練士とは、視能訓練士のエキスパートのことで、日本視能訓練士協会に加盟した人が受けられる「生涯教育制度」で学び、国民の健康の向上・維持に貢献できる知識と技術を習得し続けている人に与えられる称号です。

教育プログラムを受講し、学会発表・参加・研修会によって得られる単位を取得することで認定視能訓練士の称号を取得することができます。
視能訓練士としてのスキルアップだけでなく、日々進歩する医療に対応できる認定視能訓練士は転職でも有利になっているようです。

視能訓練士の資格取得後は、認定視能訓練士を目指してみるのもよいのではないでしょうか?

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