【学費と年収】保育士を目指す人が知っておきたいお金のこと
保育士学校の学費について
将来保育士として働くためには、保育士を養成する学校に通い、保育士の国家資格を取得する必要があります。
学校へ通うためには当然「学費」がかかりますが、高額なものなので前もってどれくらいかかるか把握していきたい方が多いのではないでしょうか?
そこで、今回は保育士を目指す方に向けて、保育士学校の種類や学費について詳しく解説していきます。
保育士学校の勉強期間と学費
保育士になるためには、都道府県知事によって指定された「指定保育士養成施設」に通うのがおすすめです。
卒業と同時に保育士資格を取得できるため、短期間かつ試験を受けずに保育士になることが可能です。
4年制大学、短期大学、専門学校で養成コースが運営されており、昼間・夜間・通信制などの形で授業が行われています。
それぞれの学校の特徴はこちらです。
4年制大学
他の学校と比べると勉強期間が4年と長いですが、その分専門的な保育の知識をより詳しく学ぶことができ、保育士資格と一緒に幼稚園教諭の資格も取得できるのがメリットです。
どちらの資格も持っている人材の方が優遇されるため、就職先の選択肢が広がります。
学費は年間100万円程度が相場で、4年制であることを考えるとトータルで400~500万円の学費が必要です。
短期大学
保育・幼児教育の知識と実技をバランスよく学ぶことができ、保育園での実習が受けられ、実践的な知識を得られるのがメリットです。
4年制大学よりも短期間で必修科目を履修し、資格必要な科目の勉強や実習を行うため、在学中は忙しくなります。
年間の学費は4年制大学と同じくらいの100万円程度ですが、2~3年の短期間で資格が取得できるため、トータルの学費を抑えることが可能です。
専門学校
保育士になるために特化しているため、即戦力になれるように保育の現場で役立つ知識を集中的に短期間で学んでいきます。
2~3年で学ぶため忙しいですが、大学よりも学力が問われないため入学しやすく、学費も安いのがメリットです。
年間の学費は100万円程度で、トータルで200~300万円ほどの学費がかかります。
働きながら保育士学校を卒業できる?
今は別の職業についているが、今後保育士として働きたいと考えている方もいるでしょう。
働きながら保育士を目指したい方や、事情があって学校に通うことが難しい方は、夜間コースや通信制コースで保育士学校を卒業することができます。
夜間コース
仕事が終わったあとや休日に勉強できるように、土曜日や平日の夜に開講される夜間コース。
勉強する内容は昼間課程と同じですが、授業数は少ないのが特徴です。
授業数が少ないため密度が濃く、テンポが早いためハードに感じられますが、ポジティブに考えると「効率的」と言えます。
学費は200~300万円程度が相場です。
通信制
通信制では、課題の提出・添削などを通信で行うスタイルで保育士に必要な知識を学んでいきます。
ただし全てが通信で行われるわけではなく、卒業に必要な124単位のうち30単位は、実際に学校に行くことが必要です。
学校に通う回数が最も少ないため、社会人でも勉強しやすいのがメリットでしょう。
学費も最も安く、卒業までに100万円程度で済みます。
返済不要の奨学金
保育士学校へ通うには、夜間や通信を除いて最低でも200万円がかかります。
高額な費用になるため、家庭の事情や収入が不安定な場合は大きな負担となるでしょう。
奨学金といえば卒業後にコツコツと返済していくものですが、中には「返済不要の奨学金」があります。
もし利用することができれば、学費の負担を減らすことができるので、チェックしてみてください。
日本学生支援機構(JASSO)
「学びたい気持ちを応援する」日本学生支援機構では、要件を満たす学生に給付型奨学金の支給支援を行っています。
世帯収入や資産の要件を満たしている方や、学ぶ意欲がある学生が対象です。
給付型奨学金は返済が不要であるため、将来奨学金の返済に追われる心配がありません。
支給額は大学や短期大学、専門学校で共通ですが、国立や私立で異なります。
- 国立…29,200円(33,300円)
- 私立…38,300円(42,500円)
カッコ内は、生活保護世帯・児童養護施設などから通学する方の場合の金額です。
また、家賃を支払いながら自宅外から通学する場合も金額が異なります。
- 国立…66,700円
- 私立…75,800円
一般社団法人生命保険協会
指定の学校の保育士養成施設に在学中の学生が対象です。
全国の指定校に奨学生1名の推薦を依頼し、各学校長の推薦に基づいて決定されます。
推薦された学生は、月額2万円(年間24万円)の返済不要の奨学金を受け取ることが可能です。
株式会社JPホールディングス
卒業後に日本保育サービスに就職する学生が対象です。
月額5万円、年間60万円を最長2年間受け取ることができます。
保育士学校の学費について まとめ
保育士学校には4年制大学・短期大学・専門学校があり、それぞれでトータルの学費が異なります。
さまざまな事情で学費の捻出が厳しいという方は少なくないと思いますが、返済不要の給付型奨学金制度があるので、ぜひチェックしてみてくださいね。
保育を目指すあなたにおすすめの学校を紹介しています。
保育士の年収はいくら?
将来、保育士として自立していきたいと考えている方は、保育士がどれくらいの年収を得られるのか気になっているのではないでしょうか?
どのような職業であっても、なるべく多い年収の方が嬉しいですし、安心することができますよね。
しかし、現役保育士の中には仕事量と給料が見合っていないと感じる人が少なくありません。
そこでここからは、保育士の年収や、給料をアップさせる方法について解説していきます。
保育士の年収を知りたい方や、今より給料をアップさせたい方は、ぜひチェックしてみてください。
保育士の平均年収と手取り
保育士の平均年収は、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」で発表されています。
厚生労働省によると、保育士の平均年収は下記の通りです。
男性
- 月収…約30万円
- 年収…約364万円
女性
- 月収…約27万円
- 年収…約325万円
他の業種の平均は、月収が約41万円、年収が約490万円なので、保育士は他の業種と比較して低収入なのが現状です。
また、先ほどの数字は社会保険料や所得税を引く前のものなので、ここから税金類を引くと、月収は20万円ほどになります。
一人暮らしの場合は贅沢はできないものの、生活はできるくらいの収入です。
家族を養う必要がある立場の方の場合は、生活するのも厳しい収入と言えます。
ただ、保育士の年収は各都道府県で違いがあり、人口の多い関東・関西などでは保育士の需要が高く、給料が高く設定されている場合もあります。
保育士の年収が低いのは何故?
他の業種と比べて保育士の年収は低く、不満を抱えている方が少なくありません。
社会的にも収入の低さが問題に取り上げられることもあるのに、なぜ保育士の年収は低いのでしょうか。
それは、保育園が公定価格で運営されているためです。
保育園は国や自治体、保育料で運営されており、保育士の働きや努力が給料に反映されづらくなっています。
一般的な企業であれば努力や働きによって給料が上がることがありますが、保育士にはそれがありません。
最低限の財源から保育士の給料を出しているため、最低限の給料となってしまっているのです。
仕事量が多く、給料が見合ってないと感じる
保育士は他の業種よりも平均年収が低いですが、さらに給料が低いと感じる原因のひとつとして、給料と仕事量が見合っていない点が挙げられます。
保育士は子供たちのお世話をしたり、遊んだりするのがメインの仕事というイメージがありますが、それだけではありません。
保護者に子供の様子を伝える連絡帳の記入や配布物の作成、掲示物の作成、事務作業、イベント準備など、さまざまなデスクワークもあります。
あまりにも多いために就業時間内に終わらず、持ち帰りで仕事を行ったり、休日に行っている保育士も少なくありません。
仕事量と給料が見合ってないと感じやすい環境のため、余計に給料・年収が低いと感じられます。
保育士の年収をアップさせるためには
保育士の年収を知り、がっかりしてしまった方は少なくないのではないでしょうか?
しかし、保育士の待遇はこれから改善される可能性が高いですし、給料の高い職場に就くことで年収アップに期待できます。
保育士の年収はこれから上がる可能性あり
保育士は経験年数が長くなったり、役職に就いたりすれば、年収をアップさせることができます。
保育士の待遇改善に向け、国は「処遇改善等加算」を導入しました。
いままでは主任や園長などの役職しかありませんでしたが、待遇改善によって3つの役職が追加されています。
- 職務分野別リーダー
- 専門リーダー保育士
- 副主任保育士
などの役職です。
これらの役職は指定の研修を受けたり、勤続年数を重ねることで就くことができます。
それぞれの役職につき複数人の保育士が就けるため、給料・年収アップのチャンスを掴みやすくなったということです。
保育士の待遇を改善するべきという声は多く、国も注目している問題であるため、今後もさらに保育士の待遇は良くなっていくと期待できるでしょう。
保育園以外に就職する
保育士は保育園で働いているものというイメージが強いですが、保育士はさまざまな場所で活躍ができる資格です。
例えば「企業内保育所」や「院内保育所」「病児保育室」など、企業内や病院内に設けられた施設に就職すると、保育園で働くよりも高い給与を得られる可能性が高いです。
これらの職場では、保育園にあるようなサービス残業をする必要がほとんどなく、仕事量的にも「丁度いい」と感じる保育士が多い傾向にあります。
保育士の年収について まとめ
保育士の年収は税金を引いた金額にすると、男女ともに平均して300万円程度と、他の業種よりも収入が低いのが現状です。
しかし、保育士が年収を上げることもできます。
- 保育園以外に就職する
- 経験年数を積む
- 指定の研修を受けて役職を目指す
これらの方法で年収を上げることができるので、より収入を増やしたい方は、ぜひ検討してみてくださいね。
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