航空整備士になるには

  • 2020.12.04
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航空整備士になるには

航空整備士の概要や仕事内容

航空整備士とは

航空整備士とは、航空機の整備を行う職業です。航空機の安全な飛行のために、日々入念な整備や点検を行い、不備が見つかった際には修理を行います。
航空機が飛行している最中の機体の故障や機器の不具合は、大事故に繋がりかねません。故障した機体自体に危険が及ぶことはもちろん、何万とあるうちのパーツがひとつでも落ちてしまったり、整備に使った工具を機器の中に置き忘れてしまったりすれば、地上にも危険を及ぼすことになってしまいます。そのため、航空整備士は、多くの人々の命を預かる、非常に責任の重い仕事を担っていると言えるでしょう。そして毎日の仕事には、緊張感を持った丁寧さが求められます。
また、航空機の整備には非常に専門的なスキルが必要であり、国家資格取得者でなければ整備を行うことはできません。
航空機の利用が一般的になった現代において、専門スキルでフライトを支える航空整備士は、今後も裏方として航空業界を支えていくでしょう。

航空整備士の仕事内容とは

航空整備士の仕事は、大きく「ライン整備」「ドック整備」「ショップ整備」の3種に分かれます。それぞれの仕事内容をご紹介しましょう。

  • ライン整備
    離陸前、着陸後の機体点検・整備を行う。フライトとフライトの合間に行われるため、短時間ながら徹底した作業が求められる。
    ライン整備を行うには、大型機の場合は各機種の「一等航空整備士」資格、小型機の場合は各機種の「二等航空整備士」資格が必要。
  • ドック整備
    格納庫に収納した機体の点検・整備を行う。全体的なメンテナンスし、部品の交換や修理、塗装、非破壊検査なども行う。
    ドック整備を行うには、大型機の場合は各機種の「一等航空整備士」もしくは「一等航空運航整備士」資格、小型機の場合は各機種の「二等航空整備士」もしくは「二等航空運航整備士」資格が必要。
  • ショップ整備
    機体からエンジンや電装部品、油圧系統部品などを取り外して、点検・整備を行う。エンジンや電装部品は航空機の核となる部分であるため、入念な整備、または次回の整備までの劣化予測などが求められる。
    ショップ整備を行うには、「航空工場整備士」資格が必要。

このように、航空整備士は取得資格によって、担当できる仕事が違います。ただし、どの仕事も航空機の安全運航にためには欠かせないものであり、ミスのない仕事が求められます。

航空整備士になる方法

航空整備士になるためには、「一等航空整備士」「一等航空運航整備士」「二等航空整備士」「二等航空運航整備士」「航空工場整備士」のどれかの国家資格を取得しなければなりません。このうち、まず取得する人が多いのは「二等航空整備士」資格です。「二等航空整備士」資格を取得し、整備士になるための主なルートは、以下の2つです。

  1. 航空系専門学校卒業(国土交通大臣指定の航空従事者養成施設)→二等航空整備士資格取得(実地試験免除)→航空会社へ就職
  2. 大学・短大・専門学校・高校卒業→航空会社へ就職→(航空局認定整備訓練修了)→実務経験を経て二等航空整備士資格取得

航空整備の仕事には専門的なスキルが必須であるため、航空系の専門学校で知識と技術を学び、「二等航空整備士」資格取得した後に、航空会社へ就職するルートが一般的でしょう。また、ショップ整備を担当したい場合には、まず「航空工場整備士」の資格を取得する人もいます。
そして、多くの人はその後キャリアを積み、「一等航空整備士」資格を取得します。

航空整備士に求められる資格や試験

先述の通り、航空整備士として働くためには、「一等航空整備士」「一等航空運航整備士」「二等航空整備士」「二等航空運航整備士」、もしくは「航空工場整備士」の国家資格が必要です。
先述の通り、各資格によって扱える業務には以下のような違いがあります。

一等航空整備士 大型機のライン整備・ドッグ整備
一等航空運航整備士 大型機のドッグ整備
二等航空整備士 小型機のライン整備・ドッグ整備
二等航空運航整備士 小型機のドッグ整備
航空工場整備士 ショップ整備

それぞれの試験を受けるためには、年齢および実務経験の条件を満たすことが必要です。また、試験は学科試験と実地試験に分かれており、学科試験合格者は実地試験に進むことができます。

難易度や試験について

航空整備士系資格は国家資格であり、取得には実務経験が必要です。学科試験だけでなく実地試験も実施されるため、難易度はかなり高いと言えるでしょう。
航空整備士系資格の概要は、以下の表、および国土交通省航空局の公式ホームページをご確認ください。

一等航空

整備士

二等航空

整備士

一等航空運航整備士 二等航空運航整備士 航空工場

整備士

受験日程 3月、7月、11月 5月・7月・9月・11月・1月・3月
受験料 学科5,600円

実地50,100円

(学科)5,600円 (実地)45,000円 (学科)5,600円 (実地)37,200円 学科)5,600円 (実地)34,600円 学科)5,600円 (実地)50,100円
試験会場 東京、大阪、千歳、岩沼、名古屋、福岡、宮崎、那覇
試験形式 学科試験(マークシート)、実地試験
試験時間 不明
受験資格 20歳以上かつ整備経験4年以上 19歳以上かつ整備経験3年以上 18歳以上かつ整備経験2年以上 18歳以上かつ整備経験2年以上 18歳以上かつ整備経験2年以上
合格条件 学科試験 得点率7割以上

※2020年現在の試験概要です。

今後の航空整備士の将来性

航空業界の市場規模は、近年拡大しています。旅客輸送はもちろん、物流にとっても航空機は欠かせない手段となっており、旅客数自体も徐々に増加してきました。LCCをはじめとした新企業の参入も続き、登録航空機数も増えています。
そして、航空機の利用および航空機数の増加により、航空機整備士の需要も高まりを見せています。航空整備士がいなければ、飛行機を飛ばすことはできないためです。今後も航空整備士の需要が極端に減るようなことはないでしょう。
しかし、2020年のコロナショックにより、航空機の旅客利用は激減しました。フライト数が減ったことにより、整備業務も減少していることが予想されます。航空整備士は専門職であり、将来性の高い職業ですが、今後の需要はコロナショックの動向次第だと言えるでしょう。

航空整備士の就職先

航空整備士の主な就職先は、航空会社です。航空会社には、以下のような種類があります。

  • FSC(一般的な航空会社)
  • LCC(格安航空会社)
  • ハイブリッド航空会社(FSCとLCCの中間的航空会社)
  • リージョナル航空(小型航空機で地方地点を結ぶ航空会社)

各航空会社では、新卒や中途採用で航空整備士の採用を行っていることが多いですが、2021年度の採用についてはコロナウイルスの影響により中止されている可能性があります。
また、航空機の整備を専門に行なう航空機整備会社も、航空整備士の就職先のひとつです。
どの会社に就職するにしても、航空整備には専門知識や技術が必要であり、航空系の学歴や資格があれば、就職は有利になるでしょう。

航空整備士の平均年収・MAX年収

航空整備士の年収は、400〜500万円が相場です。ただし、所属する会社によって大きく待遇は変わり、大手の航空メーカーに就職した場合、または自衛隊の航空整備士になった場合は、平均以上の年収を得られる可能性があります。ただし、小規模な航空会社や航空整備会社の場合であれば、年収は200〜300万円代であることもあるでしょう。
また、航空整備士は取得資格によって扱える仕事に違いがあります。より上位の資格を取得していれば、仕事の幅が広がるため、キャリアアップや年収アップの可能性も見込めます。

航空整備士に向いているのはこんな人

航空整備士の仕事には、高いスキルが求められます。知識だけでなく技術もなければ、複雑な航空機の整備は行えません。また、航空機を扱うための国家資格も取得しなければならず、航空整備士として働くためには、常に勉強が必要です。そのため、コツコツと努力を続けられる人でなければ、航空整備士は務まりません。
また、努力を続けるためには、航空機が好きであることも大切です。航空機に対する熱意があれば、それはスキルアップにも繋がるでしょう。
さらに、航空機の整備には、少しのミスも許されません。ちょっとした気の緩みが事後につながる恐れもあり、整備には常に完璧が求められます。よって、航空整備士には、丁寧で几帳面な性格の人や責任感のある人も向いていると言えるでしょう。

航空整備士に関連する職業や資格

航空整備士に関連する職業

航空整備士に関連する職業をご紹介します。

  • グランドスタッフ
    カウンター業務や案内業務など、空港でのサービル業務を行う。
  • グランドハンドリング
    航空機の誘導や搭乗口の取り付けなど、飛行場での地上作業を行う。
  • ディスパッチャー
    フライトプランを作成する。
  • 航空管制官
    航空機を安全に飛ばすため、航空機へ地上から指示や許可を出す。
  • キャビンアテンダント
    航空機内で、搭乗客が快適に安全に過ごせるようサービスを行う。
  • 操縦士(パイロット)
    航空機の操縦を行う。

これらは全て航空機を飛ばすための業務を担う職業で、グランドスタッフやグランドハンドリングなどの地上業務とキャビンアテンダントや操縦士などの機内業務に分かれます。
そして航空整備士はこのような職業と連携して、決められた時間で丁寧な機体整備を行っています。

航空整備士に関連する資格

航空整備士に関連する資格には、先述の航空整備士系資格以外にも、以下のようなものがあります。

  • 航空無線通信士
    航空機の無線機器を操作するために必要な国家資格
  • 航空特殊無線技士
    特殊航空機の無線機器を操作するために必要な国家資格
  • 第三級陸上特殊無線技師
    固定局や基地局等の無線設備を技術的に操作するために必要な国家資格
  • 危険物取扱者
    ジェット燃料等を搭載するために必要な国家資格

このような資格は、航空整備士の仕事に必要となる場合があります。どれも専門的な国家資格なので取得は簡単ではないですが、取得しておけば仕事の幅が広がり、キャリアアップにも繋がるでしょう。

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