【原子力工学】って何が学べる?学問の研究内容や学ぶ方法についてご紹介します!
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投稿日:2024年3月14日 | 最終更新日:2024年3月14日
【原子力工学】は何が学べる?
世界的な気候変動や長年にわたって続く環境破壊から近年、「持続可能な開発目標(SDGs)」を目指した環境保護運動が活発化しています。エネルギーや資源はその中心的課題であり、現在、カーボンニュートラルによる「脱炭素社会化」が叫ばれています。
石油や石炭、天然ガスといった化石エネルギーは有限な資源ですが、原子力エネルギーは温室効果ガスを排出しないゼロエミッション電源です。その一方で、東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所事故を経験した日本においては、事故の教訓を踏まえ、率先して重大な事故のリスクを低減し、安全性を継続的に高めていく努力が必要です。
諸外国は工場の排ガス規制やガソリン車の規制を進め、およそ2030年までに電気自動車に切り替える目標を立てています。電力供給は今後も伸び続ける中、安全で安定した原子力エネルギーの活用が望まれています。重要度の高さとは裏腹に、人材不足から技術継承が懸念されている分野でもあり、若い世代の参入が期待されています。
【原子力工学】とは、どんな学問?
原子力工学は、エネルギーの生産、利用、および資源の効果的な管理を研究する学問です。持続可能な未来のためにエネルギーの効率的な利用を推進し、資源を利用することは非常に重要です。20世紀始めにアルバート・アインシュタインが発見した「質量とエネルギーの関係則」から誕生した原子力工学は文明発展に大きく寄与した一方、原子力爆弾や水素爆弾の発明につながったことで人類に大きな負の遺産を残し、冷戦の引き金にもなりました。
その後、チェルノブイリ原子力発電所事故、近年では壊滅的な被害をもたらした東日本大震災の津波により、原子力発電所がメルトダウンを引き起こし、日本全国の原子力発電所が稼働停止になりました。現在、12基が再稼働しているものの、エネルギー需要に対して、慢性的に供給不足になっているのが現状です。総発電量は2030年目標の半分程度に過ぎない一方、火力発電は中東の不安定な情勢による原油価格高騰に加え、二酸化炭素など温室効果ガス排出による地球温暖化への影響が懸念されています。
こうした経緯から、人類にとって安全な原子力エネルギーの活用は原子力工学の至上命題です。安全性をより重視した原子力エネルギーの供給が待ち望まれています。また、従来型の核分裂反応ではなく、新たな「核融合発電」の開発が次世代のエネルギー社会を担うものとして期待されています。このように、原子力工学はすべての人類の課題解決のため、未知のエネルギーや資源の開発に取り組んでいます。
【原子力工学】関連する学部
また、学科やコース名などに原子力安全工学科など、「原子力」とついている場合が多いので、注意して検索してみましょう。
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【原子力工学】で学ぶ科目
原子力工学で学べる科目には、エネルギー工学、資源工学、数学、量子力学、統計力学、電磁気学、放射線物理学、物理化学、材料物性、流体・熱工学、原子炉物理学などがあります。
【原子力工学】に向いている人
また、原子力工学はエネルギーの供給不足を解決するという未知の課題に直面しており、実験が好きな人、新たな技術に興味・関心がある人、数理的センスがある人、独創的なアイディアをもっている人など、知的好奇心が旺盛な人が向いているといえます。
【原子力工学】で目指せる職業/資格
原子力工学を学ぶことで目指せる職業としては、原子炉主任技術者、放射線取扱主任者のほか、電力やエネルギー関連の民間企業や研究所、経済産業省や環境省、都道府県庁といった公的機関を目指すことができます。
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