細胞検査士になるには

  • 2019.12.25
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細胞検査士の概要や仕事内容

細胞検査士とは?

細胞検査士は人間の体の中にある約60兆個の細胞のうち、秩序正しく働いていない細胞である「がん細胞」を見つけ出すため、日々顕微鏡で細胞をチェックする職業です。
日本には約6,000人の細胞検査士がいます。
細胞検査士の資格を得ることができるのは、国家資格である臨床検査技師のみです(衛生検査技師も取得することができますが、衛生検査技師の資格は法改正によって2011年3月以降は新たに取得できなくなっています)。

細胞検査士の仕事内容とは?

肺がんや膀胱がんを患っている人は喀痰(咳をしたときに喉のほうから出てくる粘液状の痰)や尿の中にがん細胞が混ざっていることがあります。
この喀痰や尿を顕微鏡で調べてがん細胞があるかどうかを判断していきます。
これが細胞診検査です。

細胞診検査を行うにはまず医師が患者さんから喀痰などの検体を採取します。
採取した検体を受け取った細胞検査士が染色などの処理を施したあと、顕微鏡で観察して、異常な細胞がないかどうかを観察していきます。
細胞診検査により「がん細胞」やがん細胞と区別がつきにくい「異型細胞」、がん化する前の「異形成細胞」などを発見し、がんやその他の悪性疾患の早期発見に貢献することができます。
ただし、細胞診検査によりがん細胞を発見したとしても医師以外の人間が診断をすることはできないため、発見した細胞に印をつけて細胞診専門医と一緒に診断します。最終的には医師が対処法や治療法について判断をします。
医師が正確な診断をするためには細胞検査士の正確な検査が必要不可欠なのです。

細胞検査士が観察するのは喀痰や尿だけではありません。
子宮がんの発見のためには子宮内部の細胞を婦人科医が取り出したものを検査しますし、乳がん検診や甲状腺の検査でしこりなどの異常が見つかったら、そのしこりの部分に注射針を刺して取り出した細胞を検査します。
体の部位ごとに専門の細胞検査士がいるわけではありませんので、細胞検査士は全身の診断を行えるよう膨大な知識を持っておかなければなりません。

このような形で日々たくさんの人の検査を行っているのです。
細胞診検査は身体にほとんど傷をつけずに検査をすることができるため体への負担が少なく、傷跡も残りません。同じ人が繰り返し検査をすることも可能なのです。

細胞検査士になる方法(資格取得方法等)

細胞検査士の資格を得るためにはまず臨床検査技師にならなければなりません。
臨床検査技師は国家資格で、受験するためには受験資格を得なければなりません。
受験資格を得るためには高校卒業後に大学や短大、専門学校などの養成機関を卒業(見込みも含む)する必要があります。
受験資格を得たら国家試験を受け、合格した後に免許の申請をすることによって臨床検査技師になることができます。

臨床検査技師になることができたら、ようやく細胞検査士資格認定試験を受けることができます。
しかし細胞検査士資格認定試験にも受験資格があります。以下のいずれかの条件を満たした人に受験資格が与えられます。
・臨床検査技師ないし衛生検査技師として主として細胞診検査の実務に1年以上従事した者
・細胞検査士養成所あるいは養成コースのある大学を卒業した者(見込みも含む)
受験資格を得たら、いよいよ認定試験です。
認定試験は一次試験と二次試験があり、二次試験に合格すると細胞検査士の資格が授与されます。
資格取得後は5年ごとに更新が必要で、更新するためにはセミナーやワークショップに参加していることや年会費を完納していることなどの条件を満たす必要がありますのでお気を付けください。がん細胞などを正確に発見するための資格なので、常に新しい知識を身につけておくためにセミナーなどに参加して更新をすることが義務付けられているのです。

資格難易度や試験について

試験について

細胞検査士資格認定試験は一次試験が毎年10月末頃に東京・大阪で、二次試験は毎年12月頃に東京で行われています。
合格率は一次試験・二次試験がどちらも50%ほどで、最終的な合格率は25%ほどになります。一次試験に合格して二次試験が不合格だった場合は、翌年の試験で一次試験が免除になり、もう一度二次試験のみを受けることが可能です。

●試験の概要
一次試験の試験内容
・筆記試験:総論、技術、婦人科、呼吸器、消化器、体腔液・その他が各20問ずつの計120問
・細胞画像試験:カラープリントされた細胞画像を見て設問に答える(約60問)
二次試験の試験内容
・スクリーニング試験:婦人科材料、喀痰、尿、体腔液などの細胞診標本を一定時間内に鏡検して、その標本中の異型細胞、悪性細胞をふるい出すあるいは選び出し、病変推定する試験。
・同定試験:細胞診標本に示してある細胞を見て、組織型などを推定する試験。
・標本作製実技試験:塗沫、固定などの、標本作製技術のレベルを問う試験。

●試験合格後
細胞検査士認定資格に合格したら、国際細胞検査士認定試験の受験資格が与えられます。国際細胞検査士認定試験は2年に1回東京で行われます。国際細胞検査士資格は多くの国で有効な資格となっているため、海外でも細胞検査士として働くことができるようになります。実際に細胞検査士の多くは国際細胞検査士の資格を取得しているそうです。

今後の細胞検査士の将来性

細胞検査士は臨床検査技師が専門性を高めた資格となっており、臨床検査技師として活躍していた人がスキルアップのために取得することも多いといいます。

臨床検査技師が行っていた検査業務が機械化されてきたため、臨床検査技師の求人自体は少なくなっていると言います。しかし、細胞のわずかな変化を見つけるためには未だ人間の目による検査が必須で、完全な機械化にはまだ遠く及ばないと言います。そのため急に臨床検査技師の求人が無くなることはないでしょう。
また、健康志向が高まってきているため健康診断やがん検診などの健康な人に対する検査は需要が増えてきているそうです。そのためまだまだ臨床検査技師が活躍する場はたくさんあると言えます。

正直なところ細胞検査士の求人自体はそう多くはないのが現状ですが、常に一定の需要があることは間違いないと言えます。
健康志向が高まっていること、がん検診の啓もう活動が盛んなこと、これから高齢化が進み病院にかかる人が増えていくことなども考えると、まだまだ十分に将来性があると言えるのではないでしょうか。

細胞検査士の就職先

細胞検査士の主な就職先は病院にある病理検査室や検査センターです。
病院の種類としては大学病院やがん専門病院、一般病院などの大きな病院が挙げられます。
他にも大学や一般企業の研究機関や製薬会社などで活躍する方もいらっしゃいます。

細胞検査士に向いているのはこんな人

細胞検査士は顕微鏡で細胞の“顔つき(状態)”を観察していきます。
もしも顔つきが悪い方向に変化していることに気が付けば、がんの早期発見をすることができます。
しかし明らかに変化している細胞ばかりを見つけることができるわけではありません。毎日毎日細胞を見ていると、悪性なのか良性なのか判断することが難しい細胞に出会うこともあります。
経験を積んでいけばその判断をすることができるようになってきますが、初めのうちは判断がつかず頭を悩ませる日々が続くかもしれません。
正確な判断をすることができるようになるまで、経験をしっかり積んで、日々新しい知識を身につけることができる向上心を持っている人であることが求められます。

また、細胞検査士は一日中顕微鏡を見つづけることになりますので、忍耐力や根気強さも求められます。
そしてただ顕微鏡を眺めているだけではなく、病気を発見することが目的である、つまり人の命に係わる責任が重い仕事をすることになるのでかなりの集中力と精神力を要することになります。
細胞検査士ががん細胞を発見することができればその後の精密検査や手術、治療計画の判断を医師が行うことができるのですが、逆に見落としてしまえばその後の患者さんの命に大きな影響を与えてしまうことになるでしょう。
このようなプレッシャーと戦うことができる力も求められそうです。

細胞検査士に関連する職業や資格

関連する職業

臨床検査にはいろいろな種類があるため、様々な学会や組織がスキルアップとしての資格認定制度を設けています。
臨床検査技師として、細胞検査士として専門性を高めていくために資格を取得してみてはいかがでしょうか。

資格制度には次のようなものがあります。
一級臨床検査士(各専門分野)
二級臨床検査士(各専門分野)
緊急臨床検査士
認定輸血検査技師
認定臨床微生物検査技師
認定血液検査技師
認定一般検査技師
認定心電検査技師
認定臨床染色体遺伝子検査技師
遺伝子分析科学認定士
超音波検査士
日本糖尿病療養指導士
健康食品管理士
治験コーディネーター(CRC)など他にも多数あります。

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