通訳になるには

  • 2020.09.15
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通訳の概要や仕事内容

通訳とは

通訳とは、言語を他言語に訳す職業です。違う言語を話すクライアントの間に入って、それぞれが話す言葉を適切な言葉で瞬時に訳し、それを相手に伝えます。
日本では社会のグローバル化が進み、海外での取引や外国人との交流が盛んになってきました。外交でもビジネスでも、さらにはエンターテインメントでも、英語を始めとした外国語が必要とされる機会は増えています。そして、そんな中で重要な役割を果たしているのが、通訳という職業です。通訳は優れた語学力と知識により、言語の違う人々を繋いでいるのです。
近年、英語を学んだり話したりする人は増えていますが、外交やビジネスの場において専門的な内容を通訳するためには、非常に高いスキルが必要です。そのため、プロの通訳として活躍できるのはほんの一部。優れた通訳はさまざまな場面で活躍し、人々の交流を支えています。

通訳の仕事内容とは

通訳の仕事は、言語を訳し伝えることです。
通訳が必要となる場に同行し、クライアントや取引相手の発する言葉を聞き取って訳し、適切な言葉を選んで伝えます。つまり、言語の違う人の間に入り、言葉の中渡しを行うのです。
通訳の仕方には、同時通訳や逐次通訳(話を区切りながら、順に通訳を行う)、ウィスパリング(クライアントの耳元で通訳を行う)、オンラインなど種類があります。しかしどの場合でも、言語を聞きながら理解し、知識を生かして訳すという作業を瞬時に行わなくてはなりません。そのため、語学力を磨いたり知識を増やしたりして常にスキルを高めていくことも、通訳の仕事の一部だと言えるでしょう。
また、通訳は、必要に応じて外国人客の案内を行ったりクライアントとの打ち合わせを行ったりすることもあり、スムーズに業務を行うための下調べや下準備も担います。

通訳になる方法

通訳になるために、必ず必要になる学歴や経歴、資格などはありません。通訳の採用募集をしている会社に応募し採用されれば、誰でも通訳として働くことは可能です。
とはいえ、通訳には語学や海外文化に関する深い知識が必要です。特に語学力はネイティブレベルでなければ、通訳としての採用を勝ち取ることは困難でしょう。
そのため、通訳としての就職を目指す場合、海外留学を経験したり通訳養成学校に入ったり、また外国語資格を取得したりと、スキルを高める努力やそれをアピールできる経験は必須です。
また通訳は、企業への就職ではなくフリーランスとして活動することもできます。その場合もスキルや経験は重要視されるため、通訳になるためには、通訳スキルを高めておくことが何よりも大切だと言えるでしょう。

通訳に求められる資格や試験

先述の通り、通訳になるために必須となる資格や試験はありません。
しかし、語学に関する資格は多数実施されており、それらの取得は通訳としての就職や実務に役立ちます。そしてその中でも、もっとも広く知られているのは、「TOEIC(トーイック)」でしょう。
「TOEIC」とは、「Test of English for International Communication」を略したもので、ビジネスに利用できる実用的な英語力を測る試験です。世界約160カ国で開催されるグローバルスタンダードな試験として、さまざまな場面に活用されています。
そんな「TOEIC」は、以下の5種の試験に分けられます。

TOEICの試験種類

  • TOEIC Listening & Reading Test
    英語でのコミュニケーション能力を測るテスト
  • TOEIC Speaking & Writing Tests
    英語でのコミュニケーションに必要な話す・書く能力を測るテスト
  • TOEIC Speaking Test
    英語でのコミュニケーションに必要な話す・書く能力を測るテスト
  • TOEIC Bridge® Listening & Reading Test
    英語学習の初級者から中級者を対象とした、聞く・読む能力を測るテスト
  • TOEIC Bridge® Speaking & Writing Test
    英語学習の初級者から中級者を対象とした、話す・書く能力を測るテスト

この中でもっとも受験者が多いとされているのは、「TOEIC Listening & Reading Test 」コースです。
また、TOEICの成績は、級ではなく点数で表されます。目安としては、これが600点以上であれば、一般企業への履歴書や面接でのアピールに利用できます。しかし、通訳を目指すなら少なくとも700点以上は持っておきたいところでしょう。

難易度や試験について

近年の「TOEIC Listening & Reading Test 」の平均スコアは、580〜600点程度です。中には満点者もいますが、スコアは低点数まで幅広い分布となっていることから、難易度は決して低くはないでしょう。
試験詳細は下表またはTOEIC公式ホームページをご確認ください。

受験日程 1、3、4、5、6、7、9、10、11、12月の年10回
受験料 6,490円(税込)
試験会場 全国の指定会場
試験形式 マークシート
試験時間 リスニング45分、リーディング75分
受験資格 なし
合格条件 合否なし(990点満点、5点刻みのスコアで評価を行う)

 

今後の通訳の将来性

社会では、グローバル化が進んでいます。ビジネスの分野でもエンターテインメントの分野でも、海外との取引や交流が当たり前になりました。今後もこのような流れは続き、それに伴い高い語学力を持った通訳者の需要は増えていくと考えられます。
また、最近ではSkypeやzoomなど、オンラインを使用した通訳の募集も増えてきています。このように、通訳の働き方が多様化することにより、通訳という職業の間口も広がっていくでしょう。
ただし、最新技術を用いた通訳(翻訳)ツールの開発は進み、その利用も今後は増えていくことが予想されます。よって、通訳として長く活躍するためには、語学能力や専門知識を伸ばし、機械に代替できないスキルを伸ばす努力が必要でしょう。

通訳の就職先

通訳の主な就職先は、貿易関連会社や観光会社、航空・船舶会社、ホテルなどです。これらの会社では海外との取引が多いため、通訳という役割は非常に重要で、通訳担当者は商談や会議の通訳を担当します。さらに、近年では海外との取引が一般的になり、さまざまな一般企業でも通訳を採用しています。
また、政府や地方自治体などの行政機関も、通訳の就職先に数えられます。その場合は、外国人のための窓口や担当者の海外訪問、外国人客の案内などにおいて、通訳を行うことになります。
とはいえ、会社や行政機関に属さず、フリーランスとして活躍する通訳も少なくはありません。その場合は、自ら営業活動を行いながら、企業や個人と契約し、通訳業務を行うことになるでしょう。

通訳の平均年収・MAX年収

通訳の年収は、400万円前後が相場です。ただし、雇用形態や業界によって待遇は大きく変わります。重要なポジションを任され正社員の通訳として働く場合には、平均を大きく超える年収を得られる場合もあるでしょう。
また、通訳はさまざまな業界で活躍していますが、中でも観光業界で働く通訳は年収300万円程度と、平均よりもやや相場が低い傾向にあります。
さらに、通訳には正社員ではなく、フリーランスや派遣社員など、時給制で働く人も少なくはありません。その場合の時給は、1,000〜4,000円ほどと幅があり、仕事内容やスキル、実績、仕事数によって得られる年収は異なります。金融や医療などといった専門分野を通訳できるスキルがある通訳は、より良い待遇を受けられるでしょう。

通訳に向いているのはこんな人

通訳は、語学力に長けていることはもちろんですが、他にもこの仕事に向いている条件として、さまざまな要素が挙げられます。
その中でも、向上心や向学心を持っていることは、通訳にとって非常に重要でしょう。なぜなら、通訳は語学だけでなく、それぞれの国の慣習や宗教についても知った上で、言葉を伝えなくてはならないためです。何も知らずにただ通訳をしてしまっては、適した伝え方ができず、時にはマナーに反してしまう可能性もあります。
また、このようなリスクを避けるためには、あらゆる可能性を考えて仕事ができる慎重さも大切です。知識を生かして慎重に、そして適切に通訳を行うことが、通訳者には求められます。
さらに、通訳は外国語を聞きながら瞬時にその言語を変換し、伝えなくてはならないため、高い集中力や頭の回転の速さも必要です。加えて、人と人とを繋ぐ役割としての高いコミュニケーション能力もあると良いでしょう。

通訳に関連する職業や資格

通訳に関連する職業

通訳に関連する職業のひとつに、翻訳があります。翻訳は、ある言語で書かれた情報や文学を、より多くの人が読めるよう、他言語に訳す職業です。
通訳と翻訳は、どちらも言語を他言語に変換する職業であるという点で共通しており混同されやすいですが、これらには大きな違いがあります。それは、「話す」か「書く」かということ。通訳が口頭で言語を訳すのに対し、翻訳は記述で言語を訳します。そのため、翻訳者には通訳よりも表現的な能力が、また通訳者には翻訳よりも臨機応変な対応力が求められるでしょう。
また、同じように語学力が求められる職業は多く、外国語講師やツアーガイド、客室乗務員、海外営業職、さらには外交官まで、その分野もさまざまです。社会のグローバル化に伴い、通訳のように多言語の知識が求められる職業は、今後も増えていくでしょう。

通訳に関連する資格

外国語関連の資格は、先ほどご紹介した「TOEIC」以外にも多く実施されています。例えば、「中国語検定」や「実用フランス語技能検定」、「ドイツ語技能検定」など。通訳を行う対象によって実務に役立つ言語は変わるので、英語以外の資格については、通訳として活躍する分野や将来的なビジョンによって、適したものを選び、学習しておくと良いでしょう。
また、「通訳案内士」という資格も、通訳に関連する資格のひとつです。「通訳案内士」は厚生労働省により認可されている国家資格であり、外国人観光客に対するガイドの育成を目的に実施されています。しかし、そのレベルの高さから、近年では自身の外国語レベルを測るために受験する人も増加しています。10種と対象言語も幅広く、この資格はガイド以外の通訳業務にも役立つでしょう。

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