義肢装具士になるには?資格取得から将来性、おすすめの専門学校まで徹底解説

  • 2019.12.25
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義肢装具士になるには?資格取得から将来性、おすすめの専門学校まで徹底解説
      
              

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投稿日:2019年12月25日|最終更新日:2024年7月29日

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義肢装具士は、病気や事故などで手足を失ったり、身体機能が低下した方の社会復帰をサポートする専門技術者です。近年、高齢化社会の進行に伴い、義肢装具士の需要はますます高まっています。

この記事では、義肢装具士の仕事内容やなる方法、国家試験、就職先、将来性、向いている人の特徴などを解説します。おすすめの専門学校もご紹介するので、進学を考えている方も是非ご覧ください!

義肢装具士とは?

義肢装具士は、病気や事故などで手足を失ったり、身体機能が低下した方の社会復帰をサポートする、医療分野で必要とされる専門職です。患者さんの身体状況や生活環境に合わせて、義肢や装具の製作、調整、修理を行います。また、患者さんの身体機能回復のためのリハビリテーションも担当します。

義肢装具士になるためには、国家資格である「義肢装具士国家試験」に合格し、免許を取得する必要があります。

義肢装具士は医師の処方に従って義肢装具を制作・提供しています。「義肢装具士」の資格を持たずに製作のみを行う人もいますが、依頼者に接して採型や調整を行うことができるのは有資格者だけです。

義肢装具を作る職業=物づくりのイメージがありますが、職人気質というよりは患者さんとコミュニケーションを取りながら義肢装具を作成していくことや、医師をはじめとした医療関係者と連携を取っていくことになりますので、ただ義肢装具を作るだけでなく、高いコミュニケーション能力も求められる職業でもあります。

義肢装具士は、患者さんの身体機能回復と生活の質(QOL)向上に貢献する、やりがいのある職業です。

義肢装具士の仕事内容は?

義肢装具士が行う業務は主に義肢装具の作成です。
義肢とは、失った手足を補完するもので、手の代わりの義手や足の代わりの義足がこれにあたります。見た目を補う装飾用と、実際に指先などを動かす能動用に分かれています。
装具とは一時的に失った機能を補完し回復を図るためのもので、コルセットやサポーター、インソールなどがこれにあたります。

義肢装具を作成するためには、まず患者さんが医師の診察を受けます。

それから義肢装具士が医師の指示を受けて体のサイズを採寸し、型を作るためにギプスなどで採型を行います。

採寸・採型が終わったら患者さんにあった義肢装具を作成します。材料は様々で、金属やプラスチック、繊維材料、皮革などを機械や工具を使って加工していきます。

そして最後は適合させます。患者さんの体にうまくフィットしなかった場合は原因を調べて、細かい調整を繰り返し行っていきます。

義肢装具士になる方法(資格取得方法等)

はじめに述べたとおり、義肢装具士は国家資格です。

義肢装具士になるには、厚生労働大臣が指定する義肢装具士養成施設(大学、短期大学、専門学校、高等専門学校)で3年以上学び、所定の科目を修める必要があります。卒業後、義肢装具士国家試験を受ける資格が得られます。

養成施設以外の学校を卒業した人も、所定の科目を履修していれば、義肢装具士養成施設で2年以上教育を受けると、受験資格を得ることができます。

また、厚生労働省の定める技能検定である「義肢・装具製作技能士」の資格を取得している場合、義肢装具士養成施設で1年以上学ぶことで義肢装具士国家試験の受験資格が得られます。

これらの条件を満たして受験資格を得て国家試験に合格した後、厚生労働省医政局医事課試験免許室免許登録係に義肢装具士の免許の申請を行い、取得することによって義肢装具士を名乗ることができるようになります。
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義肢装具士国家試験の難易度や試験について

試験について

義肢装具士の国家試験は年1回、毎年2月下旬頃行われます。

2024年(第37回)までの全試験の平均合格率は85.4%。第33回~第37回までの直近5回の平均合格率は76.1%ですが、おおむね80%を超えている年が多いです。

近年の受験者数が毎年200名前後と国家試験にしては少ないので合格率がぶれやすいですが、決して低い合格率ではなく、十分な対策をすれば合格できる試験です。しかし、受験者はほぼ養成施設を卒業した人であることを踏まえると、在学中にしっかりと勉強しておかなければいけない試験だということになりそうです。

【試験の概要】
受験書類の配布:各義肢装具士養成校で入手するか、公益財団法人テクノエイド協会にはがきかFAX、メールにて請求して入手します。

受験書類の受付:1月中に提出。郵送の場合は簡易書留で送付しなければなりません。

試験日程:2月下旬頃

試験地:東京都

試験科目:臨床医学大要(臨床神経学、整形外科学、リハビリテーション医学、理学療法・作業療法、臨床心理学・関係法規を含む。)
義肢装具工学(図学・製図学、機構学、制御工学、システム工学、リハビリテーション工学)
義肢装具材料学(義肢装具材料力学を含む)
義肢装具生体力学
義肢装具採型・採寸学
義肢装具適合学
合格ラインは合格発表後に掲示されるため不明ですが、全体の80%を得点していない場合はその時点で不合格になるそうです。

合格発表:3月下旬

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義肢装具士の就職先

義肢装具士は医療関係者ですが、主な就職際は義肢装具制作会社です。
その理由は義肢装具を取り扱っているのが制作会社であるからで、求人のほとんどは一般企業です。提携病院を訪問して患者さんにカウンセリングを行うなどして義肢装具を作成します。入院からリハビリまで行う義肢装具制作会社もあります。

もちろん医療機関からの求人もあります。規模が大きい整形外科や形成外科の「義肢室」で義肢装具の政策や修理を行っています。

また、義肢装具士は、病院、診療所、義肢装具製作所などの医療機関だけでなく、スポーツ分野やリハビリテーション施設などでも活躍しています。近年では、高齢化やスポーツ人口の増加に伴い、義肢装具士の必要性はますます高まっています。

今後の義肢装具士の将来性

これまでの義肢装具士国家試験の合格者は6,327名であり、希少な職業です。高齢化社会の進展やスポーツ分野での需要拡大など、今後も義肢装具士の活躍の場は広がっていくと予想され、将来性も期待されます。

これまでの義肢装具は身体の形に近いものが多かったのですが、現在はデザイン性が高いものが増えてきています。義肢装具をつける方の生活スタイルや体重、運度量など様々なことを考慮したうえでオーダーメイドで作成することによって、患者さんに希望を与えることができるでしょう。

また、最近はパラリンピックやパラスポーツが取り上げられることも多いですよね。義足や義手などをつけて陸上競技などをするアスリートの姿をテレビなどで見かける機会も多くなりました。このようにパラスポーツを通じて、義肢装具についても注目されるようになっています。

そして最近になってよく見かけるようになったのがペットの義肢装具です。
足が不自由になってしまった犬が義足などをつけて散歩をしているのを見かけたことはありませんか?人間だけでなく、ペット用の義肢装具を作る義肢装具士もいるのです。

このように様々な面で義肢装具士は注目されており、活躍の場を広げているのです。
高齢化で体が不自由になっている人が増えていることや、生活習慣病で手足を失う人が後を絶たないことなどから、義肢装具のニーズは高くなってきています。

ロボットの開発にも義肢装具士の技術がつかわれていることもあり、これからも十分に将来性がある資格だと言えるでしょう。

義肢装具士に向いているのはこんな人

医療技術や義肢装具は日々進化していきます。
常に進化する技術や機能について学び、積極的に情報収集をしてついていける人であることが求められます。
そしてその技術などを患者さんのために提供することができることが大切です。
もちろん、ただ新しいものを提供するのではなく、患者さんの症状などに合わせて適切なものを見つけられる能力が必要です。

義肢装具は機械だけでなく手作業で作成する部分も多く、繊細な作業が求められます。特に人の体に直接装着するものですので、細かな調整は欠かせません。
器用な人でなければなれないというわけではありませんが、器用であればあるほど仕事がしやすいのではないかと考えられます。

つまり義肢装具士には、手先の器用さや技術力、コミュニケーション能力が必要とされます。そして人を助けることに喜びを感じ、患者さんの気持ちに寄り添える人にはさらにやりがいを感じられ、向いている職業といえるでしょう。
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義肢装具士に関連する職業や資格

関連する職業

まず大前提として義肢装具士は医師の指示の下義肢装具を作成していきますので、医師と関わることは間違いありません。

そしてリハビリを行っていく際には理学療法士作業療法士といったリハビリの国家資格を持っている医療関係者が患者さんに義肢装具の訓練をしていきます。
特に理学療法士がもつ背屈角度などの知見は、義肢装具士が知りたい情報の一つです。お互いに情報を共有することで患者さんに合った義肢装具を作ることができるようになります。

他にも看護師医療事務薬剤師など、患者さんの治療を行うに当たってはチーム医療として様々な医療関係者と一緒に業務を行っていくことになります。

関連する資格

義肢装具士が理学療法士の資格も持っていれば、よりよく患者さんの状態を知り、向き合うことができます。

理学療法士も国家資格であるため、養成校で学んで受験資格を得てから国家試験を受けなければなりません。そうなると取得までにかなりの時間と労力を要することになると思いますが、患者さんのため、自分のスキルアップのためにも取得しておいて損ではない資格だと言えるでしょう。

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義肢装具士に関連するおすすめの専門学校

ここからは、おすすめの義肢装具士に関連する専門学校をご紹介します。
いずれも義肢装具士に関連する分野でとても評価の高い学校なので、義肢装具士について専門的に学びたいという方には最適な学校です。

西武学園医学技術専門学校【東京都新宿区】

◆関連学科:義肢装具学科

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◆関連学科:義肢装具学科

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