「食の世界への夢」を持つ皆さんへ

辻 芳樹校長

今、皆さんの心の中にはそれぞれ食の世界に対する思いや、将来の夢があるでしょう。
自分が思い描く将来の夢を実現できるのか、そして、好きなことを仕事にするにはどうしたら一番いいのか。
私も、皆さんと同じ年齢のとき、そんなことを考えていました。

好きなことを仕事にすることや、将来の「夢」は、あるとき突然、誰かがプレゼントしてくれるものではありません。
世界で活躍するすごいスポーツ選手でも、アーティスト、ミュージシャンでも、いきなり「夢」をかなえたわけではないでしょう。
そして、世界で、日本各地で活躍している有名な料理人、パティシエも、初めからただ「才能」を持っていたわけじゃないはずです。

まずは、皆さんときっと同じ、夢を持つことから始まったのではないでしょうか。
みんな、努力をして、自分で自分の夢を取りに行ったんです。
夢への階段を自分の足で、自分の意思で登って行ったんです。

この場所からあなたの「食の世界への夢の階段」は始まっています。
料理、製菓・製パンの世界へつながる学校として、
辻調グループは、その入り口でありたいと考えています。

私たちの学校では、どうすれば確かな技術を身につけて業界で活躍できる人材を送り出せるのか・・
学校設立以来、50年以上もの間、ただひたすらにその思いで学校を続けてきました。
その思いを実現するのに、一番重要なのは、「教育力」つまり、先生の教える力。
そして、なによりも学生の「学びたい」という姿勢です。
「教えることで学び続ける」、この思いを我が校の「建学の精神」としてすべての校舎のエントランスに掲げています。
教職員の我々こそが常に学び続け、技術を磨き続けなければならない。
なぜなら、教えることにも、料理にも、究極がないからです。

ぜひ、我が校の「自由な校風」の中で、どこまでも探求し続け、学び続けてほしい。
自分の世界観をもった料理人・パティシエになってほしい。
社会人として責任ある人こそが、あらゆる人々に、人生を豊かにする食の素晴らしさを伝えていくことが出来ると、僕は信じています。

皆さんと学校で、直接、会える日を楽しみにしています。
みんなの夢が必ず叶うよう、心から応援しています。

素材の本質や最適を引き出すためには、 クリエイティブな発想やアイデアが必要です。

山根大助さん

「ポンテベッキオ」 (大阪・北浜) オーナーシェフ
山根 大助さん Daisuke Yamane
辻調理師専門学校 1981年卒
大阪・緑風冠高校卒

辻調理師専門学校を卒業後、神戸、イタリア各地での修業を経て1986年に大阪本町に「リストランテ ポンテベッキオ」を開店。以来、大阪の地にこだわり続け、4つのリストランテを展開。現在はオーナーシェフとして厨房に立ちながら、テレビや雑誌などメディアでも活躍。2006年から「辻調グループ 校友会コンピトゥム」 会長に就任、全国の卒業生ネットワークを意欲的につないでいる。

料理はクリエイティブな仕事です。つねにクリエイティブな発想を引き出すために、私はコンディションを整え、新しいアイデアを生み出せる余裕を持つよう心がけています。お客さまに料理を提供する上で大切にしているのは「本質」の追究です。本質とは、中心となる主材料のこと。たとえば、料理の主役が肉であれば、どう焼くかを考え、温度、状態、塩加減などすべての「最適」を目指します。素材それぞれのおいしさを引き出すためにもクリエイティブな発想が絶対に必要になってきます。

私は料理が好きでこの道に進みました。料理人は職業選択の一つであり誰でもなれる職業ですが、続けることが難しい。一ついえるのは、強い気持ちで学び、継続していけば必ず道は開けるということです。進みたい方向や思い描く結果を目指してあらゆることに挑戦し、チャンスがくれば掴み取る。そんな心意気が必要だと思います。

辻調で学んでよかったなと思うのは、プロが使う道具や食材、料理の仕組みにふれられたことでしょうか。トリュフを削るだけの道具やさまざまな専用鍋、クラシカルな赤い銅鍋に感動したことを今も覚えていますし、本物の料理を生みだす「ムード」を感じることができました。このムードにふれることが実はとても重要で、感受性がなければそれを感じ取ることもできません。料理人を目指す皆さんには、ぜひ感受性を養うことにも力を入れてほしいと思いますね。

「情熱」と「研究心」をもって、日本から 世界へ発信していく力をつけよう。

成澤由浩さん

「NARISAWA」 (東京・青山) オーナーシェフ
成澤 由浩さん Yoshihiro Narisawa
辻調理師専門学校 1989年卒
辻調グループ フランス校 1990年卒
愛知・常滑北高校卒

「サスティナビリティーとガストロノミーの融合」をテーマに、自然環境に関わる料理を表現。自然保護と再生への願いを込めたメッセージは世界中の料理学会で賞賛され、2010年マドリッドフュージョンで「世界で最も影響力のあるシェフ」に選ばれる。日本の自然環境と食文化を護り次の世代へと繋いでいくために有識者の会議を開くなど、日本各地に残された知識や技術を持続させる活動を積極的に行っている。

私の思う料理人像とは、単に技術だけではなく、文化、科学、精神を究めることにあります。しかし日本の評価基準はまだ「技術と知識」だけのレベルで、それでは世界と戦っていけない。他国の料理のテーマは「環境問題」にまで及んでいます。“社会の中の料理人”であり“地球人としての料理人”を目指す意識が必要ではないでしょうか。

料理の道を志すならば、こうなりたい!こうしたい!という情熱が必要です。そして「研究心」を持って学んでほしい。世界の料理人へアンテナを張り巡らし「誰が、いつ、何をしたか」をキャッチする。料理を研究し、リスペクトし、自分に取り入れる!さらに、凄い人に出会う、出会える環境をつくること!その点、辻調のフランス校は海外を知る足掛かりとして、その価値を十二分に満たしています。

私自身、フランス校のスタージュ(実地研修)やその後の修業で得たものは「人との出会い」に尽きます。今でも交流が続く素晴らしい人々との出会いが、人間としての「厚み」をつけてくれました。さらに、ヨーロッパで受けた差別や偏見といった経験が、「いつか見返してやる」というバネになった。あの未熟な時代があったからこそ、今、世界に発信する立場にいられるのだと思います。

私が表現している料理は「フランス料理」とは思っていません。フランス料理の技法を使った「日本の料理」。真の「日本」を世界へ発信したいと考えています。

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