小学館に就職するには? 編集者を目指すなら今からできること
- 📅 投稿日 2025年12月26日│最終更新日 2025年12月26日
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小学館に就職するには?憧れの出版社で働くための道筋
「週刊少年サンデー」「CanCam」「小学一年生」。書店に並ぶ雑誌や文庫の背表紙に、小学館のロゴを見つけたことがある人は多いはず。
この記事では、創業100年を超える老舗出版社で働くのは、どんな人たちなのか。そして、どんな道を歩めば憧れの出版社で働くことができるのかをまとめました。
小学館ってどんな会社?
小学館は1922年創業の総合出版社です。雑誌、書籍、コミック、デジタルコンテンツまで幅広く手がけている点が特徴で、講談社、集英社と並んで「出版業界の御三家」と呼ばれています。
他社との違いで言えば、幼児向け雑誌や学習図鑑のシェアが圧倒的に強いこと。教育分野に根を張りながら、「名探偵コナン」のような国民的ヒット作も生み出してきました。最近では「マンガワン」などWebメディアの展開にも力を入れています。
本社は東京都千代田区。従業員数は約700名(2025年時点)と、イメージより少ないと感じるかもしれません。これは編集や企画を担う正社員の数であり、執筆や撮影、印刷などは外部のプロと協力しながら進めるスタイルが一般的だからです。
小学館にはどんな仕事がある?
出版社というと「編集者」をまず思い浮かべるかもしれません。たしかに花形職種ですが、それだけで会社が回っているわけではありません。
編集
編集職は、コミック編集とニュースメディア編集に大きく分かれます。
コミック編集では雑誌、単行本、アプリなど各媒体でのコミック制作に携わります。
ニュースメディア編集では、ニュースサイトや週刊誌、写真集、単行本などを手がけます。
作家やライター、デザイナーとやり取りしながらコンテンツを形にしていく仕事です。
営業
一方で営業職も重要です。書店への配本交渉や販売促進、取次(出版物の卸売業者)との調整を担います。どんなに良い本を作っても、読者の手に届かなければ意味がない。編集と営業は、いわば車の両輪です。
最近では、従来の枠を超えた職種も増えています。ライツ管理(作品の映像化・商品化の版権管理)、クロスメディア(国内外市場へのメディア展開)、IP商品企画、海外翻訳ライツ、XR事業(メタバースやAR・VR)、DX推進(データ分析やマーケティング戦略)といった専門職です。
さらに、経理、人事といった管理部門もあります。出版業界全体がデジタル化とグローバル化へ舵を切る中、多様なスキルを持つ人材が求められています。
採用はどんな形で行われる?
新卒採用
小学館の新卒採用は、例年十数名と非常に少数です。出版業界全体が縮小傾向にあることもあり、採用人数は限られています。職種別採用ではなく、総合職として入社後に配属が決まる形が一般的です。
選考は書類選考、筆記試験、複数回の面接で構成されています。特に注目されるのが「企画書提出」です。「新しい雑誌を立ち上げるなら」「この本をヒットさせる方法は」といった課題が出されることもあり、発想力や表現力が試されます。
面接では志望動機よりも、「どんな本を読んできたか」「どんなコンテンツに影響を受けたか」が深く掘り下げられる傾向があります。表面的な憧れではなく、出版文化への理解と熱量が見られているわけです。
中途採用
一方、経験者採用も行われています。コミック編集やニュースメディア編集はもちろん、ライツ管理、DX推進、XR事業、経理、人事など専門性の高い職種では、実務経験を持つ人材を積極的に募集しています。
新卒で入れなかったとしても、他社や関連業界で経験を積んでから挑戦する道もあるのです。
大学か専門学校か、それぞれの強みは?
進路を考えるとき、大学と専門学校のどちらを選ぶべきか悩む人もいるでしょう。結論から言えば、小学館のような大手出版社の正社員採用は、大卒者が圧倒的に多いのが現実です。
採用実績を見ると、早稲田大学、慶應義塾大学、東京大学、京都大学といった難関大学の名前が目立ちます。GMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政)や関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館)からの採用も一定数あります。
ただし、これは「その大学でなければダメ」という意味ではありません。単に、そうした大学の学生が多く志望し、選考を勝ち抜いた結果そうなっているだけです。地方の国公立大学や中堅私立大学から採用されるケースもあります。
大学進学の優位性
大学進学には、はっきりと有利な点がいくつかあります。
まず、多様な分野を学べること。文学、歴史、社会学、心理学、経済学。幅広い教養を身につけられます。編集者には専門知識よりも、むしろ横断的な視野と柔軟な思考力が求められます。大学での学びは、その土台になります。
次に、人脈とネットワークです。サークル活動、ゼミ、アルバイト、インターンシップなど、多様な人と出会う機会が豊富です。文芸サークルで小説を書いた経験、学生新聞の編集長を務めた経験、フリーペーパーを作った経験。こうした活動が、選考で大きな武器になります。
また、時間的な余裕も見逃せません。4年間という時間は、本を読み漁り、映画を観まくり、旅をして、議論をして、自分の興味を深めるのに十分な長さです。この「回り道」が、後に編集者としての引き出しになります。
専門学校という選択肢
一方で、編集やデザインを学べる専門学校もあります。東京デザイン専門学校、東京コミュニケーションアート専門学校など、出版・編集に特化したコースを持つ学校もあります。
専門学校の強みは、実践的なスキルを短期間で身につけられること。InDesignやPhotoshopといったDTPソフトの使い方、取材の技法、原稿整理の方法など、現場で即戦力となる技術を学べます。
また、出版業界とのパイプが太い学校もあります。編集プロダクションや小規模出版社とのインターンシップが充実しており、在学中から実務経験を積めるケースもあります。
ただし、現実的な話をすれば、専門学校卒で小学館のような大手出版社に新卒採用されるのは極めて難しいと言わざるを得ません。採用実績はほとんどありません。
専門学校から出版業界へ入る道
とはいえ、専門学校卒業者が出版業界で活躍する道はあります。
まず、編集プロダクションです。小学館は多くの業務を外部の編集プロダクションに委託しています。専門学校で学んだDTPスキルや編集技術は、編集プロダクションで即戦力として評価されます。そこで実績を積み、経験者採用に応募する道もあります。
デザイナーやフリーランスとして関わる道もあります。ブックデザイナー、DTPオペレーター、イラストレーター、カメラマン。こうした専門職として小学館と仕事をすることは十分可能です。むしろ、専門学校で磨いた技術が直接活きる分野です。
また、デジタルメディアの台頭で状況は変わりつつあります。WebデザインやUI/UXデザインのスキルがあれば、小学館のDX推進部門で活躍できる可能性もあります。
経験者採用では実務経験が重視されるため、専門学校で基礎を学び、別の企業で経験を積んでから挑戦する道が現実的です。
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どんな学部・学科が有利?
大学に進学すると決めたとして、どの学部を選ぶべきか。
特定の学部が圧倒的に有利ということはありません。文学部、社会学部、法学部、経済学部、教育学部、理工学部、芸術学部。採用実績を見ると、実に多様です。
ただし、編集職を志望するなら、文系学部の出身者が多いのは事実です。文学部や人文系学部で培われる文章力、読解力、批評眼は、編集の現場で直接役立ちます。歴史や哲学、社会学といった教養も、企画を立てる際の引き出しになります。
一方で、理系出身者が不利というわけではありません。科学雑誌や学習図鑑、専門書の編集には理系的な知識が欠かせません。教育学部出身者が学習参考書の編集で活躍するケースもあります。
近年では、DX推進やXR事業といった新しい職種が増えています。データサイエンス、情報工学、経営工学といった分野を学んだ人材も求められています。文系・理系という枠組みよりも、自分の専門性をどう活かせるかが重要です。
むしろ大切なのは、その学部で何を学び、何を考えてきたか。専攻そのものより、自分の興味をどこまで掘り下げられたかが問われます。
中学・高校時代からできること
出版社で働きたいと思ったとき、大学に入ってから準備すればいいわけではありません。今、この瞬間からできることがあります。
とにかく読む
まず、本を読むこと。これは絶対に欠かせません。
小説、漫画、雑誌、ノンフィクション、エッセイ。ジャンルを問わず、手当たり次第に読む。学校の図書館、地域の図書館、書店、ネットの記事、何でもいい。「読む」という行為そのものが、編集者への第一歩です。
ただし、読むだけでは足りません。読んだ本について、誰かと話す。感想をノートに書く。SNSに投稿する。なぜ面白かったのか、どこが引っかかったのか、言葉にする訓練が必要です。
何かを作る
次に、何かを作る経験です。
文章を書く。イラストを描く。動画を作る。Webサイトを作る。何でも構いません。ゼロから何かを生み出す苦労を知っておくことは、編集者になるうえで大きな財産になります。
中学や高校の新聞部、文芸部、放送部といった部活動は絶好の機会です。部誌を作る、学園祭でフリーペーパーを配る、文化祭の冊子を編集する。こうした経験が、後に採用選考で語るエピソードになります。
最近では、noteやブログ、YouTubeなど個人で発信する手段も豊富です。書評を書く、好きな漫画について語る、おすすめの本を紹介する。こうした活動を続けていれば、自然と文章力や企画力が磨かれます。
視野を広げる
編集者には、幅広い興味と好奇心が求められます。
本だけでなく、映画、音楽、美術、演劇、スポーツ。さまざまな文化に触れてください。美術館や博物館に行く。ライブやコンサートに行く。舞台を観る。旅をする。
一見、出版とは関係ないように思えるこうした体験が、後に企画を立てるときの引き出しになります。「こんな雑誌があったら面白いのでは」「こういう切り口で本を作れないか」。そういう発想は、豊かな文化的経験から生まれます。
英語力を磨く
もうひとつ、見落とされがちですが重要なのが英語力です。
小学館では海外翻訳ライツやクロスメディアの国際展開など、グローバルな業務が増えています。海外作品の版権交渉、翻訳出版、デジタル展開。英語を使う場面は確実に増えています。
ひとつの目安としてTOEIC700点以上、できれば800点以上を目指しておくと、選考で有利に働きます。今のうちから英語の本や記事を読む習慣をつけておくといいでしょう。
洋画を字幕で観る、海外のニュースサイトを読む、YouTubeで英語のチャンネルを観る。日常的に英語に触れることが、長い目で見れば大きな差になります。
在学中にやっておくべきこと
大学に入ったら、さらに本格的に準備を進めます。
圧倒的に本を読むこと。漫画、小説、雑誌、エッセイ、ノンフィクション。ジャンルを問わず、手当たり次第に読む。「好きな本は何ですか」と聞かれて、数冊しか挙げられないようでは心許ないですよ。
次に、何かしらの形で「作る」経験を積むこと。文芸サークルで小説を書く、学生新聞の記者になる、フリーペーパーを作る、ブログやnoteで発信する。完成度はともかく、ゼロから何かを生み出す苦労を知っておくことは大きいです。
インターンシップに参加するのも有効です。小学館自体がインターンを実施する年もありますし、他の出版社や編集プロダクションでの経験も役立ちます。現場の空気を知ることで、漠然とした憧れが具体的な目標に変わっていきます。
データ分析やプログラミングのスキルを身につけるのもいいでしょう。DX推進やデジタルメディアの運営には、こうした技術的な知識が欠かせません。PythonやSQLの基礎を学ぶ、Google Analyticsを使ってみる。こうした経験が、従来の編集職とは違う入口を開く可能性もあります。
編集者以外の道も視野に
ここまで編集職を中心に話してきましたが、出版社への道は一本ではありません。
営業職は、むしろ文章を書くのが苦手な人に向いているかもしれません。人と話すのが好き、数字で結果を出したい、現場を駆け回るのが楽しい。そんなタイプなら営業でこそ輝けます。
ライツ管理やクロスメディアといった職種も注目です。作品を生み出すのではなく、既存の作品を映像化や商品化につなげる仕事。交渉力やビジネスセンスが求められる分野で、編集とは違ったやりがいがあります。
IP商品企画やXR事業といった新しい領域も面白い。小学館のコンテンツを活かして、新しいサービスや体験を作り出す仕事です。メタバースやAR・VRといった最先端技術に触れられます。
また、正社員としての入社にこだわらない選択肢もあります。
契約社員やアルバイトとして出版社に入り、実績を積んでから経験者採用に応募する。編集プロダクションでキャリアを積み、後に出版社へ転職する。フリーランスのライターやデザイナーとして出版社と仕事をする。
組織に属さなくても、出版の世界に関わる方法はいくらでもあるのです。
出版業界の現実も知っておこう
華やかに見える出版業界ですが、現実は厳しい面もあります。
出版市場は1996年をピークに縮小が続いています。電子書籍の普及で持ち直しつつあるものの、紙の雑誌や書籍の売上は減少傾向です。小学館も例外ではなく、事業の多角化やデジタルシフトを進めています。
労働環境も、決して楽ではありません。締切に追われる編集者の残業は多く、土日も取材や打ち合わせで潰れることがあります。給与水準は決して低くはありませんが、激務の割に見合わないと感じる人もいるでしょう。
それでも、自分が関わった作品が世に出て、誰かの人生に影響を与える瞬間は、何にも代えがたい。クリエイターと二人三脚で作り上げたコンテンツが評価されたとき、この仕事を選んでよかったと感じるのです。
今できることから始めよう
小学館への就職は狭き門です。けれど、最初から手の届かないとあきらめてしまうのはもったいない。
大学進学が最も確実な道であることは事実ですが、それがすべてではありません。専門学校から編集プロダクションやデザイナーとして出版業界に入る道もあります。実務経験を積んでから経験者採用に挑戦する道もあります。フリーランスとして活躍する道もあります。
今すぐできることはたくさんあります。本を読む。映画を観る。展覧会に行く。誰かと議論する。文章を書く。何かを作る。自分の興味を深める。視野を広げる。
出版社で働くということは、文化を届ける仕事に携わるということです。そのためには、まず自分自身が豊かな文化的経験を積んでいなければなりません。
小学館だけが目標ではないはずです。講談社、集英社、KADOKAWAなど他の出版社もありますし、新興のWebメディアもあります。大切なのは「何を伝えたいか」であって、「どこで働くか」ではありません。
憧れを現実にするには、時間がかかります。でも、今日読んだ一冊の本が、書いた一本の文章が、いつか必ず力になる。そう信じて、一歩ずつ進んでいってください。
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