マーシャラーになるには?飛行機を誘導する仕事の内容・資格・年収・専門学校まとめ!
- 2020.12.04

投稿日:2020年12月4日|最終更新日:2025年4月14日
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飛行機が空港に着陸したあと、誘導するように動いている人を見かけたことはありませんか?
赤や黄色のライトを持ち、飛行機の前で手信号を出している姿…それが「マーシャラー」と呼ばれる仕事です。
マーシャラーは、パイロットに合図を送り、機体を決められた位置にピタリと止めるという、空港の安全を守る重要な役割を担っています。
この記事では、そんなマーシャラーの仕事内容や必要なスキル、年収、将来性、そして目指せる専門学校まで、わかりやすく解説します!
マーシャラーってどんな仕事?
マーシャラーとは
マーシャラーとは、飛行機の誘導を専門に行う空港のプロフェッショナルです。
空港の滑走路や駐機場で、赤やオレンジのライト(パドル)を持ち、飛行機の前で手信号を送っている人を見たことはありませんか?その人こそがマーシャラーです。
飛行機のパイロットからは、地上の停止位置が見えにくいことがあります。そこでマーシャラーが、ライトやパドルを使って合図を出し、機体を安全かつ正確に停止位置へと導くのです。
この誘導作業は、航空機の運航に欠かせない重要な業務のひとつ。マーシャラーがいなければ、スムーズな乗降や給油、整備ができなくなる恐れもあります。
また、マーシャラーは「グランドハンドリング」の一種です。グランドハンドリングとは、航空機が空港にいる間に行われるさまざまな地上作業の総称で、荷物の積み下ろしや乗客の案内、搭乗口の接続なども含まれます。
その中でもマーシャラーは、航空機の位置を正しくコントロールするという極めて重要かつ専門性の高い役割を担っているのです。
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マーシャラーの仕事内容とは
マーシャラーの主な仕事は、航空機が空港に到着・出発する際の誘導作業です。
飛行機が停止線をきちんと通過し、定位置で止まるためには、パイロットへの正確な合図が必要です。マーシャラーは、パドルやライトを使ってパイロットに合図を送り、安全に航空機を停止位置まで誘導します。
この誘導作業は、次のような場面で行われます。
●到着時:滑走路から駐機スポットへ誘導
●出発時:駐機場から滑走路へ機体を送り出すサポート
機体を停止線から数センチでもズレてしまうと、ボーディングブリッジが届かない、給油できないなど、他の作業に支障が出ることもあります。そのため、マーシャラーには正確性と判断力が強く求められるのです。
また、マーシャラーは1人で仕事をしているわけではありません。たとえば、
●チョークマン:タイヤの位置を確認し、車輪止め(チョーク)の設置・取り外しを行う
●ウイングウォッチ:航空機の翼や周辺に障害物がないかを監視し、衝突を防ぐ
こうしたスタッフと連携しながら、航空機の安全を支えているのがマーシャラーです。
なお、マーシャラーの合図はICAO(国際民間航空機関)で定められた世界共通の手信号を使用しており、国内外どの空港でも通用するルールに基づいて行動します。
つまり、国際的にも通じる“ボディランゲージ”で飛行機を動かす、グローバルな仕事でもあるのです。
マーシャラーになる方法
マーシャラーになるためには、特別な国家資格などはありませんが、空港での地上作業に関する知識と経験が必要不可欠です。高校卒業後にすぐ就職する人もいますが、多くの人が専門学校や大学で航空業界について学んだうえで就職しています。
一般的なルートは以下のとおりです。
- 高校卒業後、航空系の専門学校や大学に進学:
グランドハンドリングや航空貨物、空港業務に関する基礎知識と実践力を学びます。 - ハンドリング会社や空港業務代理店などに就職:
まずは荷物の積み下ろしや機体周辺の業務など、他のグランドハンドリング業務からスタートします。 - 訓練・実務経験を積む:
現場での経験を通じて判断力や連携力を養い、手信号などの技術を身につけます。 - 社内試験に合格:
マーシャラーになるには、会社によって設けられた学科試験や実技試験に合格する必要があります。 - マーシャラーになる!
このように、マーシャラーは誰でもすぐになれる職業ではなく、空港業務のスペシャリストとしてのステップを踏む必要があるのです。
また、進学前にけん引免許や大型特殊免許などを取得しておくと、入社後に活かせる場面も多いため、将来を見据えて早めに準備するのもおすすめです。
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マーシャラーに求められる資格や試験
マーシャラーになるために、国家資格や公的試験の受験は義務づけられていません。ただし、実際の現場では車両の運転や貨物の取り扱いなど、さまざまな技術や資格が必要になります。
代表的な免許・スキルは以下のとおりです。
- 普通自動車免許(マニュアル):
特殊車両を運転するにはMTの免許が必要になることがあります。 - けん引自動車運転免許/大型特殊自動車運転免許:
機体をけん引したり、特殊な車両を使うための免許です。 - 社内資格(実技試験・学科試験):
マーシャラーになるには、勤務先での社内認定を受ける必要があります。
会社によっては、入社後に免許取得の費用をサポートしてくれる制度を設けているところもあります。
また、就職前に航空専門学校で実践的な訓練を受けておくと、資格取得もスムーズですし、就職試験でも有利に働くことがあります。
マーシャラーになれる学校はこちらマーシャラーに関連する資格や職業
マーシャラーは航空機の誘導を担当する専門職ですが、関連する資格や職業も多数あります。
将来的なキャリアの幅を広げるためにも、周辺の知識を持っておくことは大きな強みになります。
マーシャラーに関連する資格
マーシャラー自身には特別な国家資格は必要ありませんが、グランドハンドリング職全般で役立つ資格として、次のようなものがあります。
- フォークリフト運転技能講習修了証:
貨物の運搬や搭載作業で活躍するために必要です。 - 車両系建設機械運転技能講習修了証:
空港内での特殊車両操作に関わることがあります。 - 高所作業車運転技能講習修了証:
飛行機の整備や機体まわりの作業で必要なことも。 - IATA 国際航空貨物取扱士:
国際物流に関する知識を証明する資格で、航空貨物を扱う際に重宝されます。 - 危険物取扱者(乙種第4類):
航空燃料などの危険物を扱う際に必要です。
グランドハンドリング職の多くは、貨物の積み下ろしを行ったり航空機のけん引を行ったりすることがあるため、特殊車両免許を取得します。また、貨物の取り扱いに関する資格も有していれば、そのスキルは実務に役立ちます。
加えて、英語でのコミュニケーションが求められる場面も多いため、語学系のスキルも持っておくと活躍の場が広がります。「TOEIC」をはじめとした外国語資格も取得し、外国語のスキルを伸ばしておけば、外国人クルーへの対応もスムーズに行えるでしょう。
マーシャラーに関連する職業
空港で航空機の運航を支える仕事には、マーシャラーのほかにもさまざまな職種があります。
- チョークマン
機体が停まる位置を確認し、車輪止め(チョーク)の設置と取り外しを行います。マーシャラーと連携して安全な停止をサポートします。 - ウイングウォッチ
機体の翼(ウイング)や周囲の障害物を監視し、衝突を防ぐ役割。誘導中のマーシャラーの「目」として重要な存在です。
チョークマンやウイングウォッチは、マーシャラーと同じグランドハンドリング職の一種であり、連携して業務を行います。
また、航空機関連職として広く知られているのは、以下のような職業です。
- グランドスタッフ(空港でのカウンター業務や搭乗案内を行う)
- 航空機整備士(航空機の整備を行う)
- キャビンアテンダント(航空機内でのサービスを行う)
- パイロット(航空機の操縦を行う)
- 航空管制官(航空機の離発着や進路を指示する)
- ディスパッチャー(適切なフライトプランを作成する)
これらすべてが、飛行機を安全に、そして正確に飛ばすために必要な職種です。
マーシャラーの仕事に興味がある方は、空港全体を支える“裏方のプロたち”にも目を向けてみると、新しい進路のヒントが見えてくるかもしれません。
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今後のマーシャラーの将来性
マーシャラーは、今後も需要が見込まれる職業です。
なぜなら、飛行機のパイロットは駐機スポットの正確な位置を目視で確認することが難しく、地上からの正確な誘導が不可欠だからです。
実際に、マーシャラーがいないと停止位置がズレてしまい、乗客の乗降や給油、貨物の積み下ろしに支障が出ることも。空港の運営スケジュールに遅れが出るリスクもあるため、重要なポジションとして常に求められています。
一方で、海外の一部の空港では誘導の自動化が進んでいるのも事実です。機械による誘導システムを導入しているケースもありますが、トラブル発生時の対応力や安全性の観点から、日本では今も人の目と判断が重視される傾向にあります。
つまり、今後機械化が進んでも、日本の空港ではしばらくの間、マーシャラーという仕事はなくならないと考えられています。空港の安全を支える現場の第一線として、今後も高い価値がある仕事です。
マーシャラーの就職先
マーシャラーの主な就職先は、以下のような空港関連企業です。
- ハンドリング会社(グランドハンドリング専門企業)
- 航空会社の空港業務部門
- 航空業務代理店
これらの会社では「マーシャラー」という職種単独で募集されることはあまり多くありません。
多くの場合、「グランドハンドリングスタッフ」などの総称で求人が出され、その中で経験を積みながら、マーシャラーにステップアップしていきます。
入社後はまず、貨物の搭降載、チョークマン、ウイングウォッチといった業務をこなした後、社内試験に合格して初めてマーシャラーとして認定されるという流れが一般的です。
なお、航空機は昼夜を問わず運航されているため、勤務はシフト制となります。夜間勤務がある分、手当もつくので、収入面でも安定が期待できるのが特徴です。
マーシャラーの平均年収・MAX年収
マーシャラーの年収は、平均でおよそ500万円前後といわれています。
これは日本の平均年収(約440万円)と比較しても高めの水準です。
ただし、これはマーシャラーとして経験を積んだ後の金額であり、就職直後は月給20万円前後からスタートすることが多いです。
その後、20代で月給25万円、30代で35万円、40代では40万円前後までアップするケースもあります。
また、マーシャラーは深夜や早朝に働くこともあるため、夜勤手当や残業手当が加算され、勤務形態によって年収が変動するのも特徴です。
加えて、勤務先によって給与水準に差があるため、大手企業や航空会社直轄のグループ会社の方が比較的高収入になりやすい傾向があります。
マーシャラーに向いているのはこんな人
マーシャラーは、飛行機好きにとって夢のような仕事。ですが、それだけでは務まらない“タフさ”と“協調性”も求められる仕事です。
●航空機が好きな人
巨大な航空機を自分の合図で動かす感覚は、飛行機好きにとって大きな魅力です。間近で航空機を見ながら働ける環境は、この仕事ならではの醍醐味です。
●体力に自信がある人
マーシャラーの仕事は屋外で行うため、暑さ・寒さ・雨風など、天候の影響を強く受けます。また、シフト勤務や夜勤もあるため、体調管理能力やスタミナが求められます。
●チームで協力して仕事ができる人
飛行機を誘導する際は、ウイングウォッチやチョークマンなど、他のスタッフと連携することが必要不可欠。チームワークや状況判断ができる協調性のある人が向いています。
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マーシャラーになるためのおすすめの専門学校
マーシャラーをはじめ、空港で働くプロフェッショナルを目指すなら、専門的な知識や技能を学べる専門学校への進学が近道です。
ここでは、マーシャラーやグランドハンドリング業務に強い学校をピックアップしてご紹介します。
実践的なカリキュラムや空港実習、現役プロから学べる授業など、学校ごとの特長にも注目です!
エアライン・鉄道・ホテル・テーマパーク専門学校東京(2024年4月 ホスピタリティツーリズム専門学校より校名変更)【東京都中野区】
◆関連学科:昼間部 エアライン科
グランドハンドリングに求められる技能を現役社員講師に学び、週に1度の空港実習で現場力を学ぶ。
◆現役航空会社社員による直接指導
エアポートオペレーションコースの講師は現役の航空会社社員。最新の業界事情に沿った内容で航空機や航空貨物について学ぶことができます。また航空貨物運送についての知識を認定する「国際航空貨物取扱士」の対策授業も行います。
◆教室を飛び出して空港実習へ
成田空港、羽田空港で企業の協力、指導のもとグランドハンドリング業務を経験する企業実習。グランドハンドリング業務の補助作業や機内清掃など、現役社員と共にチームを組んで業務を担当します。
エアライン・鉄道・ホテル・テーマパーク専門学校東京の詳しい紹介はこちら
国際トラベル・ホテル・ブライダル専門学校【千葉県千葉市】
◆関連学科:エアライン科 エアポートコース
01:旅客と航空貨物の両方を学ぶ
02:企業からリアルな航空業界を学ぶ
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ITHBでの学びは英語をはじめとして、エアライン業界で必要とされる知識やスキルが2年間に凝縮されています。
少人数制でそれぞれの理解度や進度をしっかり把握した上で授業を進め、夢の実現に向けて一人ひとりの個性を大切にしながら、二人三脚で歩みを進めていきます。
国際トラベル・ホテル・ブライダル専門学校の詳しい紹介はこちら
大原外語観光&ブライダルビューティー専門学校【大阪府大阪市】
◆関連学科:エアライン系 エアポートスタッフコース
実習授業が豊富!
大原独自の教育システムと就職サポートのもと、多くの学生が夢をつかんでいます。
一流の講師によるハイレベルの授業と充実した設備で、あなたの未来に向けて強力にバックアップします。
■大原が選ばれる5つのポイント
大原が選ばれる5つのポイント
01.各分野のプロフェッショナルによる質の高い実践教育
02.高度な技術力を磨ける充実の設備
03.長年の実績で培った即戦力を養うカリキュラム
04.国際物流を担うエアカーゴの仕事や、空港特殊車両を扱うグランドハンドリングスタッフを目指す
05.語学と接客マナーを身につけた人材を育成
大原外語観光&ブライダルビューティー専門学校の詳しい紹介はこちら
大阪航空専門学校【大阪府堺市】
◆関連学科:エアポート学科
君の夢を実現する、関空に一番近い「空の仕事の総合学園」
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西日本アカデミー専門学校【福岡県福岡市】
◆関連学科:グランドハンドリングコース
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優秀なパイロットや客室乗務員だけでは航空機は離陸できません。
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また、グランドハンドリングコースでは人材育成の一環として、コミュニケーション能力の向上にも努めているため、 男性でもグランドスタッフやキャビンアテンダントとしての進路を選択することも可能です。
西日本アカデミー専門学校の詳しい紹介はこちら
まとめ:空港の“表と裏”を支える仕事に、あなたも挑戦してみませんか?
マーシャラーは、飛行機の安全な運航を支える「地上の指揮官」。航空機を自分の手で動かすという、責任とやりがいのある仕事です。
進学先として、航空業界に強い専門学校を選べば、現場に近い形で学びながら将来を目指せます。
まずは気になる学校の資料を取り寄せて、あなたの「空港で働く夢」への第一歩を踏み出してみてください!