国税専門官になるには

  • 2020.01.29
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国税専門官の概要や仕事内容

国税専門官とは?

国の財政基盤である内国税の賦課・徴収を行う国税庁に属する国税局や税務署で活躍しているのが国税調査官です。
国税調査官は税金のスペシャリストとして適正な課税の維持、租税収入の確保などのために法律・経済・会計等の専門知識を駆使して、国税調査官・国税徴収官・国税査察官徳職種に分かれて業務を行っています。

国税専門官の仕事内容とは?

では国税調査官の仕事内容を職種ごとにみていきましょう。

●国税調査官
所得税、法人税、相続税などの直接税及び消費税、酒税などの間接税について、管轄する地域の納税義務者である個人や会社等を訪れ、適正な納税申告が行われているかどうかの調査・検査を行っています。また、申告に関する指導、必要書類の案内なども行います。

●国税徴収官
納税義務者が定められた納期限までに納付しなかった税金の督促や滞納処分を行うとともに納税に関する指導などを行います。滞納者の仕事や資産だけでなく家族構成まで調査を行います。資産の調査を行うために、不動産登記簿を取得するなどして帳簿と登記簿の内容が一致しているかどうかなどまで調査します。

●国税査察官
裁判官から許可状を得て、管轄する地域の悪質な脱税の疑いがある者に対して家宅捜索・差押えなどの強制調査を行います。強制捜査の結果脱税の証拠を集められた場合は刑事罰を求めるために検察官に告発する(権限を持っています)ところまで、一通りの業務を行います。いわゆる「マルサ」というのは査察の「査」を取った国税査察官のことを言います。時々大きな企業の脱税があった時にニュースで大きな段ボールを持って企業内に入っていくスーツの人を見ますが、あの人たちがマルサの人たちです。

国税専門官になる方法(資格取得方法等)

国税専門官になるには、国家試験である国税専門官採用試験を受験、合格しなければなりません。
国税専門官採用試験には受験資格があり、内容は以下の通りです。
①平成元(1989)年4月2日から平成10(1998)年4月1日生まれの者
②平成10(1998)年4月2日以降生まれの者で、次に掲げるもの
(1)大学を卒業した者及び令和2(2020)年3月までに大学を卒業する見込みの者
(2)人事院が(1)に掲げる者と同等の資格があると認める者
つまり、学歴や資格については記載されていないものの、21歳以上30歳未満で、大学卒業程度の学力が必要ということになります。

合格したのちに、各国税局に税務事務官(財務省職員)として採用されます。
採用後は埼玉県にある税務大学校和光校舎において約3ヶ月間の専門官基礎研修を受講します。
基礎研修後は税務署に配属され、調査や滞納処分などの事務を行います。
3年の実務経験を終えた後再び税務大学校において7か月の専科研修を受講します。
専科研修が終了したら再び税務署に配属されて、ようやく国税専門官になることができます。採用されてから3年10か月もの期間が必要なのですね。

資格難易度や試験について

試験について

●試験の概要
※下記は2019年度の試験の日程です。
受験書類の配布:インターネット申し込みが原則となっています。

受験書類の受付:インターネット申込み(原則)
2019年3月29日(金)~4月10日(水)
人事院ホームページ上の申込専用アドレスから申し込みをします。

郵送・持参による申込み(インターネット申込みができない環境にある場合のみ)
2019年3月29日(金)~4月1日(月)(消印有効)
希望する第1次試験地を所轄する国税局(沖縄国税事務所)に問い合わせをしてください。

試験日程:一次試験…2019年6月9日(日)
二次試験…2019年7月11日(木)~7月19日(金)のうち指定する日時
試験地:希望する都道府県

※ただし二次試験については後に採用人数のふるいにかけられるときに面接をしてある程度中身を知っている人間のほうが有利に働く可能性があるので働きたい都道府県で受験したほうがよいそうです。

試験科目:●一次試験
基礎能力試験(多肢選択式)
公務員として必要な基礎的な能力(知識・知能)についての筆記試験。
出題数は全部で40題となっており、内容は以下の通りです。
知能分野27題
(文章理解11、判断推理8、数的推理5、資料解釈3)
知識分野13題(自然、人文、社会13(時事を含む。)

専門試験(多肢選択式)
出題数は70題
<必須>
次の2科目(16題)
民法・商法、会計学(簿記を含む。)
<選択>
次の9科目54題(各6題)から4科目24題を選択します。
憲法・行政法、経済学、財政学、経営学、政治学・社会学・社会事情、
英語、商業英語、情報数学、情報工学

専門試験(記述式)
次の5科目(各1題)のうち1科目選択
憲法、民法、経済学、会計学、社会学

●二次試験
人物試験
人柄・対人的能力などについての個別面接

身体検査
主として胸部疾患(胸部エックス線撮影を含む。)、尿、
その他一般内科系検査

合格発表:一次試験…2019年7月2日(火)
最終合格発表…2019年8月20日(火)

合格率は20%程度と低めです。
ただし、他の公務員試験に比べて倍率が低く、採用されやすいといいます。

今後の国税専門官の将来性

国の財政は納税によって成り立っています。
そのため国があり続ける限り国税専門官の仕事がなくなることはないでしょう。
特に貧困の差が広がってきている現代では、富裕層は脱税を、貧困層は滞納をするケースが増えるのではと予想されています。特に脱税の手口はどんどん巧妙化しているため、常に課題がある状態といえます。

また、少子高齢化が進むにつれてますます納税が重要になってきますので、国税専門官の需要はさらに増していくと考えられます。
これらのことを総合して、国税専門官はこの先も需要が増えていく可能性が高く、将来性も十分にあるといえるでしょう。

国税専門官の就職先

●国税局・税務署
札幌・仙台・関東信越・東京・金沢・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・熊本にある国税局と、沖縄国税事務所の計11局1所が、国税庁の指示によって全国524の税務署に指導・監督を行っています。(11局1所でも税務調査や滞納整理などを行っています。)

前述したように国税専門官となった後は、まず採用された管内にある税務署に配属となります。例えば東京国税局の管轄エリアは東京都・神奈川県・千葉県・山梨県の4都県で、管内には84の税務署があります。
税務署では国税調査官・国税徴収官・国税査察官として各部署に分かれて勤務します。

●海外勤務
能力や適性によっては海外勤務の可能性もあります。
勤務先はアメリカ、イギリス、フランス、オーストラリア、中国、シンガポールなどです。国内で入手できる情報だけでは足りない海外での情報提供の要請や、日本の税務行政を充実させるために海外の税務制度の調査などを行っています。
中には各国の領事館や国際機関で活躍している国税専門官もいます。

国税専門官に向いているのはこんな人

税に関する知識が豊富で、かつ経営者を相手にするために打ち負かすことができる論理的に説明ができるように幅広い知識を持っている人が必要とされます。
税法などの法律、経済学・経営学・会計学・商学などの多くの専門知識が必要です。

申告・納税にミスのあった方には、専門的な内容をわかりやすく説明し、理解してもらえるように話をしていく必要があります。
一方故意に脱税や滞納をしている経営者などに対しては、威圧的に接するのではなく、毅然とした態度で接し、冷静に間違いを追及し、説明を行い、適正に納税してもらえるよう話をしていかなければなりません。
このことから冷静さがあることや、高いコミュニケーション能力、納得し納税してもらえるような指導力などが求められることになります。

また、国税専門官は多くの資料や帳簿の確認作業や計算作業を行っています。
数字に矛盾がないか、間違いがないか…など、一つ一つ確実に確認していかなければなりません。正確さ、ち密さ、真面目さ、根気強さも必要です。

国税専門官に関連する職業や資格

関連する職業

●税関職員
税関職員は財務省の地方支分部局である税関に所属する国家公務員です。
税関職員になるためには,まず国家公務員試験に合格し,その上で税関による採用試験(面接)を受け、合格する必要があります。
税関職員は、空港や港に設置されている税関において貨物の輸出入の取り締まりや外国と往来する船舶・航空機の取り締まり、関税や消費税などの賦課・徴収など、国家公務員として安全・公正な貿易の実現のために働いています。
税関職員は不正薬物や拳銃などの密輸防止といった治安に関わる職であり、小型拳銃の携帯・使用が認められていることなどから警察官などの公安職と間違えられることがありますが、行政職の公務員です。

国税専門官は大卒程度以上でないとなることができませんが、税関職員は国家公務員試験に合格すれば高卒程度でもなることができる職業です。税にかかわる仕事を早く始めたいという方は税関職員を目指してもよいかもしれません。

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