税理士になるには
- 2020.01.29
投稿日:2020年1月29日|最終更新日:2020年1月29日
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税理士の概要や仕事内容
税理士とは?
税理士は「税務の専門家」です。
税理士法第1条には「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」と定められています。
税金の申告や納税についてはサラリーマンであれば会社が年末調整を行うため個人で行うことはありませんが、フリーランスや個人事業主の所得税などの申告や相続税の申告は個人で行わなければなりません。
税金はとても複雑で分かりにくく、申告が間違っており過少申告になってしまった場合は過少申告加算税が課されてしまいますし、逆に申告の方法によっては節税をすることもできるのです。
税務署に行けば申告書の書き方は教えてくれますが、ただ書き方を教えてくれるだけですので節税などについて教えてはくれません。
そこで頼りになるのが税理士です。
具体的に税理士がどのような仕事を行っているのか、チェックしていきましょう。
税理士の仕事内容とは?
税理士が主に行っている仕事は
・税務代理
・税務書類の作成
・税務相談
の3つです。一つずつ詳しく見ていきましょう。
●税務代理
税務代理は依頼主に代わって税理士に税金の申告などを行うことを言います。
例えば不動産を所有している方の確定申告や、フリーランスの方の青色申告、税務署が行う税務調査(正しく税務申告が行われているかどうかの調査)の立ち合い、不服申し立て(税務署の決定や更正に不服がある場合)など、依頼主と税務署の間に立って税務を行います。
ほかにも記帳代行(依頼主から預かった領収書を会計ソフトに入力する作業)や決算の確定の手伝いなども行います。
前述したとおり依頼主が自分で確定申告などを行うことは可能ですが、申告書類の作成は複雑で難しく、間違いを指摘されればまた一から作り直さなければなりません。
そうならないように税理士が依頼主の代わりに確実で適正な申告などを行っているのです。手間が省けて節税ができるとなれば依頼主にとっても大きなメリットになることでしょう。
●税務書類の作成
税務書類は税務署に提出するあらゆる書類のことを言います。
確定申告書はもちろん、相続税申告書や青色申告承認申請書、不服申立書、企業の財務諸表(損益計算書や決算書など)など様々です。
これらの書類を依頼主に代わって作成します。
●税務相談
税金に関する様々な相談に乗ります。
所得税や相続税、贈与税の計算のしかたや、節税の方法があるかどうか、不動産を売却した際に発生する譲渡所得税についてなど、税金には多くの種類があり、それぞれ計算方法や税金を納める先(国なのか地方自治体なのか)などが異なるためわからないことが多いものです。
そういったときにどのように申告をすればいいのか、どうすれば節税をすることができるのかといった相談に乗り、アドバイスを行います。
企業に対しては税金の専門家として経営コンサルティングや財務分析などを行うこともあります。
このような税に関する業務については税理士の独占業務に当たりますので、税理士以外が依頼主の代わりに税に関する業務を行った場合は税理士法違反となります。
税理士になる方法(資格取得方法等)
税理士になるにはまず受験資格を得て、国家試験を受けて、2年間の実務経験を経た後、税理士会に登録しなければなりません。
受験資格は次の通りです。
①学識による受験資格
・大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者
・大学3年次以上で、法律学又は経済学を1科目以上含む62単位以上を取得した者
・一定の専修学校の専門課程を修了した者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者
・司法試験合格者
・公認会計士試験の短答式試験に合格した者
②資格による受験資格
・日商簿記検定1級合格者
・全経簿記検定上級合格者
③職歴による受験資格
・法人又は事業行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
・銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者
・税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者
これらの条件を満たしていれば、税理士の国家試験を受験することが可能です。
2年の実務経験については試験の前後は問われませんので、試験を受ける前に2年以上の実務経験があれば国家試験の合格後に税理士会の登録を行うことが可能になります。
資格難易度や試験について
試験について
税理士の国家試験は毎年8月上旬頃行われます。
税理士の国家試験は「科目合格制度」と言って、5科目(詳細は後述)に合格しなければなりませんが、1回で合格する必要はありません。そのため数年に分けて受験して合格を目指すことが可能です。
科目合格制度のため合格率は出せませんが、試験の科目ごとの合格率は約10~15%の間で推移しているようですので難易度はかなり高めだと言えるのではないでしょうか。
●試験の概要
※下記は2020年度の試験の日程です。
受験書類の配布:2019年4月11日(木)~2019年5月20日(月)まで(こちらは2019年度の情報です。)
試験地の国税局で取得するか、もしくは郵送で請求して取得することができます。
受験書類の受付:2020年5月7日(木)~2020年5月19日(火)
受験願書の提出方法は、郵送のみ(一般書留、簡易書留又は特定記録郵便)です。
試験日程:2020年8月18日(火)~2020年8月20日(木)
試験地:北海道、宮城県、埼玉県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、熊本県、沖縄県(こちらは2019年度の情報です。)
試験科目:【会計学に属する科目】
・簿記論
・財務諸表論
【税法に属する科目】
・所得税法
・法人税法
※以上2科目についてはいずれかを必ず選択しなければなりません。
・相続税法
・消費税法または酒税法
・国税徴収法
・住民税または事業税
・固定資産税
※以上7科目のうち3科目を選択します。
会計学に属する科目2科目、税法に属する科目3科目の計5科目を合格すれば合格者となります。
合格ラインは各科目60%以上の得点を取得することです。
合格発表:2020年12月18日(金)
今後の税理士の将来性
人工知能の進化によって税務代理といった作業的な事務が多い税理士の仕事はなくなるという予想が立っているようですが、税理士の仕事は税務代理などの事務作業だけではありませんので完全になくなるとは考えにくいです。
とはいえ仕事の数が減少するとなれば、税理士同士で仕事を取り合うことになるでしょうから将来性があるとは言いにくいかもしれません。
しかし、逆に人工知能を使いこなすスキルを持っている税理士や、高齢化社会でこの先しばらくは相続が増えたり続いたりすることを見越して相続に強くなった税理士(相続は不動産の数が判明しにくかったり、家族の問題が発生しますがそのあたりの細かいケアは機械には難しいと考えられるため)、相談やコンサルティングを親身に受けることができる高いコミュニケーション能力や専門的な知識を持った税理士など、人工知能ではできないことをできる税理士であれば簡単に仕事を失うといったことはないのではないかと考えられます。
税理士の就職先
●税理士事務所
税理士の主な3つの仕事を行っている事務所です。
事務所によってどの業務に力を入れているかは異なりますが、すべての業務について実務の経験を積めるのではないかと考えられます。
いずれは独立しようと考えている方はここで学ぶのが良いのではないでしょうか。
●会計事務所
会計事務所は会計監査士が行っている事務所で、企業の監査や会計について業務を行っています。その中には税理士の業務も含まれていますので、会計事務所で税理士の仕事を行っていくという感じになるようです。
●コンサルティング企業
税理士が持つ専門知識を生かして企業に経営アドバイスや節税のアドバイスを行います。企業が抱える問題・課題を把握して経営計画や予算決定なども行います。企業のブレーン的存在となるのでやりがいを感じるかもしれませんが、かなり多忙でもあるようです。
他にも一般企業の財務部門や経理部門、国税調査官、独立など、税理士の知識を生かして様々な企業などで活躍している税理士がたくさんいます。
税理士に向いているのはこんな人
税理士が扱うのは数字ですので、計算が得意で、かつ税を扱う上で脱税などの罪を犯さないように正確な業務を行えるということが求められます。
いくら節税をしたいという依頼だったとしても、結果として脱税をしてしまえばそれは罪を犯したことになります。正義感を持って、正確に計算ができる人は税理士に向いているといえるでしょう。
また、税務相談の業務やコンサルティングの業務を行うに当たっては相談者、依頼者とのコミュニケーションは必須です。
高いコミュニケーション能力も求められるでしょう。
税理士に関連する職業や資格
関連する職業
●行政書士
税理士資格を持っていれば、行政書士の試験を受けることなく申請をすることで行政書士の資格を得ることができます。
官公庁などに提出する書類の作成や遺言書の作成もできるようになりますので、税理士の仕事に厚みを持たせることができるでしょう。
●中小企業診断士
コンサルティングを行うには資格は必要ありませんが、税理士として数字のことだけではなく経営の総合的なアドバイスまで行うためには中小企業診断士の資格を取って知識を深めておくとよいでしょう。(中小企業診断士は国が認めた唯一のコンサルティングの資格です。)
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