ふぐ調理師になるには|フグを捌く資格とは? 免許の難易度は?
- 2020.07.21
投稿日:2020年7月21日|最終更新日:2024年11月14日
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ふぐ調理師とは
ふぐ調理師とは、飲食店や加工会社など、ふぐ料理やふぐ製品を提供する店舗において、ふぐを捌き調理を行う免許を持つ人の職業です。
日本食によく用いられるふぐですが、その体内には有毒部位があります。この毒はテトロドトキシンと呼ばれるもので、人を死に至らしめることもある猛毒。実際に、ふぐ毒による事故はこれまでに多数起こっています。そのため、ふぐの取り扱いには専門的な知識と細心の注意が必要なのです。
このような危険があるため、ふぐは専門家が適切に取り扱い、捌いたり、猛毒部位をしっかりと処理したりする必要があります。
都道府県では条例により、ふぐを安全に捌き、調理・販売を行う人に免許の保有を義務付けており、その都道府県の免許を持っていなければ、ふぐを取り扱うことはできません。
この免許を保有している人を「ふぐ調理師」などと言い、ふぐを扱う専門家として飲食業界で活躍を見せています。
ふぐ調理師?ふぐ処理師?ふぐ取扱責任者?
この記事では、フグを捌いて有毒部位を除く資格を持つ人を「ふぐ調理師」として紹介しています。
ただし、東京都では令和5年(2023年)4月1日から、ふぐ調理師試験制度が変わり、受験資格の廃止や実技試験の変更などが行われ、資格名称が「ふぐ取扱責任者」となりました。
ふぐの取り扱いに関する資格は活動する都道府県ごとに取得する必要がありますが、免許試験の名称は、東京都では「ふぐ取扱責任者試験」、神奈川県では「ふぐ包丁師試験」、大阪府では「ふぐ処理試験」、京都府では「ふぐ処理師試験」等、都道府県によって異なるのです。
そのため、ふぐを捌く資格を持つ人は、「ふぐ調理師」「ふぐ包丁師」「ふぐ取扱者」「ふぐ処理師」「ふぐ調理士」「ふぐ取扱登録者」「ふぐ調理者」など、さまざまな名称で呼ばれます。
ここでは、フグを捌く資格を持つ人、有毒部位を適切に処理する資格を持つ人を「ふぐ調理師」として紹介しています。
ふぐ調理師の仕事内容とは
ふぐ調理師の仕事内容
・ふぐの有毒部位を除いて捌く(身欠き)
・ふぐの有毒部位を適切に処理する
ふぐ調理師の主な仕事は、ふぐを捌(さば)き、調理することです。
その中でも、ふぐの皮を引いたり内臓を取り分け除毒を行ったりする工程である「身欠き」と呼ばれる作業は、「ふぐ調理師」免許保有者のみに許されています。
ふぐを捌く工程はいくつもありますが、ふぐ調理師はそのひとつひとつを丁寧にこなしてふぐを食べられる状態に捌き、さまざまな料理へと調理していきます。
また、ふぐ調理師にとって重要な仕事のひとつに、ふぐを捌いた後の有毒部分の処理があります。取り除いた有毒部位については、専用の容器に入れて鍵をかけ管理し、専門業者に処理を委託しなければならないと定められています。
この仕事を怠れば事故が起こる可能性もあるので、ふぐ調理師は後処理もきちんと行わなければなりません。
ふぐは日本の旬の味覚として人気の高い食材なので、ふぐを捌く資格を持つふぐ調理師は料理店でも重宝されるでしょう。さらに、「ふぐ調理師」免許を保有している板前や寿司職人であれば、ふぐ料理以外の調理も手掛けることができるので活躍の場は広がります。
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ふぐ調理師になる方法
ふぐ調理師になるには、都道府県が認定する「ふぐを取り扱う資格(免許)」が必要です。
都道府県により、「ふぐ包丁師免許」「ふぐ処理師免許」などと呼ばれることもあります。これらの免許を取得し、ふぐ料理を扱う飲食店や旅館に調理担当として就職できれば、ふぐ調理師として働けます。
以前は、ふぐ調理師免許の受験資格に「調理師免許」が必要であったり、ふぐの取扱いに関する実務経験が条件として定められていたりする場合が多かったのですが、令和元年以降に厚生労働省から各都道府県に通知が出され、ふぐに関する条例の見直しが行われました。現在では、調理師免許がなければ試験を受けられないという自治体はほぼありません。
とはいえ、実際に働くとなると、ふぐ料理だけの調理を行うというわけにはいかず、ふぐ料理以外のさまざまな調理も行うことになるでしょう。そして、そのためにはあらゆる調理の知識や技術が必要になります。
調理の知識や技術の証明となる調理師免許や実務経験を持つことは、飲食業界で働くうえでとても有利になります。調理師免許の取得には調理師の専門学校に通ったり飲食店で修行を積んだりと、調理師国家試験の受験や技術習得のための過程が必要になりますが、ふぐ調理師を目指す人には大変役に立つ資格といえます。
ふぐ調理師に求められる資格や試験
先述のように、ふぐ調理師になるには、ふぐを取り扱う免許の取得が求められます。
※以下、「ふぐ調理師」免許試験として進めます。
この「ふぐ調理師」免許は都道府県ごとに定められているもので、免許の名前や取得の条件も都道府県ごとに異なります。
試験の内容は、ふぐの取り扱いに関する法規やふぐに関する知識、毒性の鑑別、その処理技術などで構成されており、学科試験とともに実物のふぐを目の前にした実技試験も行われます。そして、これに合格し、都道府県に免許証の交付申請をすれば、「ふぐ調理師」免許を取得できます。
地域によっては、ふぐ調理師免許試験を受けるために調理師免許の保有や2年以上の実務経験が必要でしたが、例えば東京都では令和5年度からこれらの要件を撤廃しています。ふぐの名産地である山口県では実務経験を3年以上と厳しく定めていましたが現在は緩和されています。その他の自治体でも受験資格を設けているところはあまりありません。
ただし「未成年者が合格した場合、免許を取得できるのは成人(18歳)以降(東京都の場合)」などの年齢制限が残っている自治体もあるので、受験を検討する場合には事前によく確認しておきましょう。
なお、ふぐの免許は都道府県ごとの免許となり、免許を取得した都道府県以外でフグ調理を行う場合は、その地域で再度免許を取得する必要があります。
ふぐ調理師免許を持っていれば、他地域でも申請だけで取得できる場合もあれば、改めて試験を受けて取得し直さなくてはならない場合もあります。
働く場所や働きたい場所が決まっている場合は、難易度だけでなく、よく考えてふぐ調理師の試験を受けるようにしましょう。
ふぐ調理師免許の交付について
また、「ふぐ調理師」試験に合格したら自動的に免許が付与される訳ではありません。各都道府県に申請して、免許証の交付を受けることになります。東京都の場合、申請には医師の診断書等が必要で、交付には申請書を受理してから1週間程度かかります。
試験に合格しても、免許が交付されるまでは、ふぐを処理できません。また、都道府県によっては、ふぐ処理業務を行うお店に対しても保健所等の認証が必要となる場合があるので注意しましょう。
ふぐに関する試験を行っている各都道府県では試験は年一度の場合が多く(学科と実技は別日程)、実施時期は都道府県によって異なります。
ふぐ調理師になりたい時期が決まっている場合には、しっかりと試験や免許の情報を確認しましょう。
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ふぐ調理師免許の難易度や試験について
ここでは、「ふぐ調理師」免許の試験について見ていきましょう。
全国の「ふぐ調理師」免許試験の正確な合格率は不明ですが、概ね60%程度になるようです。合格率を公表している東京都の場合、令和4年度の合格率は52.0%(令和4年度東京都ふぐ調理師試験)、受験資格が緩和された令和6年度は44.8%(令和6年度東京都ふぐ取扱責任者試験)でした。内容がかなり専門的なため、合格率はあまり高くはないようです。
試験の一例として、東京都ふぐ取扱責任者試験の概要をご紹介します。
【東京都ふぐ取扱責任者試験】
受験日程 | 学科試験・実技試験:ともに年1回9月頃実施 |
受験料 | 19,700円(税込) |
試験会場 | 学校法人後藤学園(武蔵野調理師専門学校) |
試験形式 | 学科試験(マークシート)/実技試験(鑑別、調理) |
試験時間 | 90分/23分(鑑別3分、調理20分) |
受験資格 | 特になし |
※東京都保健医療局HPより。
※東京都の場合。都道府県によって大きく異なります。
各都道府県のふぐ調理師免許の試験に関するページには、過去問題が解答と共に掲載されている場合が多いので、ぜひ参考になさってください。また、多くの自治体で、ふぐの取り扱いに関する講習会も開催されています。
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ふぐ調理師に関連する職業や資格
ふぐ調理師に関連する職業
ふぐ調理師に関連する職業には、板前やすし職人があります。
板前は料亭などで顧客に出す料理を作る職業で、すし職人は寿司店で刺身を切ったり寿司を握る職業ですが、日本料理やすしには食材としてふぐを使用することがあるため、ふぐ調理師を兼ねている板前やすし職人は珍しくはありません。日本料理やすしの技術に加え、ふぐ調理師免許を保有していることで、活躍の幅は広がります。
また、このような職業を含む、顧客に提供するための料理を作る職業を、まとめて料理人とも呼びます。さらに、その中でも西洋や中華などの海外料理を提供する料理人は、コック、シェフなどと呼ばれることもあります。
ふぐ調理師に関連する資格
ふぐ調理師に関連する資格として挙げられるのは、「調理師」免許です。「調理師」免許とは、調理や栄養、衛生などに関する知識を証明する国家資格で、多くの料理人に取得されています。「ふぐ調理師」も料理人であることが多いと思われるため、「調理師」免許は関連資格と言えるでしょう。
ただし、調理師免許取得のためには、「実務経験を2年以上経て試験を受ける」もしくは「指定の調理師養成学校を卒業する」という条件を満たさなければならず、すぐには取得できないので気を付けましょう。
今後のふぐ調理師の将来性
ふぐは日本食の中でも冬の風物詩として知られる食材で、多くの人が鍋や刺身、寿司でその味を楽しんでいます。そのため、多数の日本料理店やすし店がふぐを取り扱っていますが、これを捌くのは「ふぐ調理師」免許を持った人間でなければならないと法律および条例で定められています。
つまり、ふぐを扱う飲食店では、必ずふぐ調理師が必要とされるのです。(都道府県の条例によりますが、毒を除いた後の身をお店で扱うだけならば可能なこともあります)
このような法律や条例が定められている上、将来ふぐ料理が食べられなくなることはないと予想されるため、今後もふぐ調理師の仕事はなくなることはないでしょう。
ただし、ふぐを捌く技術だけでは、飲食業界で活躍しにくいのも事実です。ふぐ以外の調理に関する技術や知識にも長けていれば、板前やすし職人として広く働けるでしょう。
ふぐの調理に関わる仕事を長く続けるためには、ふぐを捌く技術はもちろん、調理全般の腕を磨く努力も必要です。
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ふぐ調理師の就職先
ふぐ調理師の主な就職先は、ふぐ料理を扱う日本料理店や寿司屋、ふぐ料理の専門店、旅館などです。このような店での板前や職人の求人は一定数あり、ふぐ調理師免許を持っていれば就職は比較的しやすいでしょう。
とはいえ、日本料理店や寿司屋に就職してすぐにふぐを捌けることは少なく、多くの場合、最初は見習いから始めることになります。実際にふぐを捌くのは、現場でのノウハウを身に付けてからになるでしょう。
また、加工会社、水産会社なども、ふぐ調理師の就職先のひとつ。この場合、加工したり販売店に卸したりするために、ふぐを捌きます。
あるいは既存店に就職するのではなく、ふぐを扱う飲食店を自身で開業するのもひとつの方法です。
しかし、実務の経験を積んでおかなくては店をうまく運営することは困難です。独立開業の為には、保健所からお店に対して認証を受けることが必要な場合もあります。
そのため、開業するためにはまず既存店に就職し、十分な経験を積んでから独立するのが理想でしょう。
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ふぐ調理師の平均年収・MAX年収
ふぐ調理師に限定した年収の情報は少なく、平均年収を挙げることはできません。
そこで、ふぐを扱うことも多いすし職人や板前の年収を見てみると、その平均年収は300万円〜400万円ほどになるようです。恐らく、ふぐ調理師の年収も同様程度になると考えられます。この年収は、日本全体で見ると平均を切っており、水準が高くはありません。
ただし、年収は勤務先の規模や勤続年数などによっても大きく変わります。規模の大きな店や高級店に勤務している場合には、平均を大きく超える年収を手にすることもあるでしょう。
ふぐ調理師になれる学校を探すふぐ調理師に向いているのはこんな人
ふぐ調理師は、毒のあるフグをただ捌くだけではなく、捌いた後の有毒部分の処理まで行わなくてはなりません。
ふぐに含まれる毒は猛毒で、誤って口にすれば死に至る恐れもある恐ろしいもの。きちんと定められた方法で捌き、処理しなければ思わぬ事故を引き起こす可能性もあります。
そのため、ふぐ調理師の仕事には、几帳面で慎重な性格の人が向いていると考えられます。どんな時でもリスク管理を行いながら、緊張感と責任感を持ってきっちりと処理工程をこなしていけば、事故も避けられるでしょう。
また、手先が器用であることも、ふぐ調理師には大切です。ふぐを捌く時には、皮引きを行ったり有毒部分を切り離したりと、包丁を使った細やかな作業が必要になるためです。この時、誤って毒の袋を破ってしまっては大変です。
さらに、ふぐは薄造りにすることも多く、これにも技術が必要です。器用に包丁を扱えなければ、ふぐをうまく捌くことは困難でしょう。
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ふぐ調理師を目指せるおすすめの専門学校
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