建築デザイナーになるには|仕事内容、資格、年収、なり方を紹介!
- 2020.02.28

建築デザイナーの概要や仕事内容
建築デザイナーとは
建築デザイナーとは、建築物の外観、もしくは空間をデザインする職業です。
個人宅から商業施設、マンションまで、幅広い規模の建築デザインを手掛け、見た目にも機能的にも優れた建築物を生み出しています。
建築設計には大きく分けて「意匠設計」「構造設計」「設備設計」があり、このうち「意匠設計」を扱うのが建築デザイナーです。そのため、建築デザイナーは「建築意匠設計士」と呼ばれることもあります。
建築士と建築デザイナーの違い
建築デザイナーは、建築士と混同されることも多いですが、これらの職業には以下のような違いがあります。
●建築士
国家資格である一級建築士・二級建築士・木造建築士のいずれかの免許を取得した人。
構造や設備の設計を重点的に行う。
●建築デザイナー
必須資格はなし。
意匠デザインを重点的に行う。
※ただし著名な建築士が意匠を手掛ける場合も多い
建築デザイナーの仕事は、建築主の要望を踏まえて建築の間取りなどを設計することです。内装・インテリアまでトータルにデザインする場合もあり、美的感覚や提案力が必要になります。
建築士はその建物が物理的に地震に耐えられるかなどを計算しての構造設計が主となるので、建築デザイナーは建築士の仕事よりもデザイン的な要素が強いと言えるでしょう。
建築デザイナーに資格は必要ないものの、そのデザインの建築を成り立たせるためには構造や設備に関する知識が必須になります。そのため、建築デザイナー自身が建築士の資格を持っているほうが、効率的に仕事が進めやすくなるでしょう。
また、インテリアデザイナーや内装デザイナーといった資格も、建築デザインに役立つものとなるでしょう。
建築デザイナーの仕事内容とは
建築デザイナーの仕事は建築物の外観や空間のデザインですが、具体的にはどのような業務を行なっているのでしょうか。ここでは建築デザイナーの主な業務をご紹介しましょう。
- ヒアリング、打ち合わせ
- フィールドワーク(下調べ)
- 情報管理、資料作成
- コンセプト作成
- プレゼンテーション
- 図面作成
- 建築模型作成
- 修正、デザイン
- スケジュール管理
建築デザイナーは、クライアントやチームメンバーと打ち合わせを重ねながら、このような業務を行なっています。
デザインセンスや表現する画力だけなく、顧客のイメージをきちんと把握したり、メンバーと情報を共有したりする「コミュニケーション能力」も非常に重要になってくることがわかります。
そして、近年の建築はスピードも上がっているので、スケジュール管理も重要な業務のひとつ。期日を守りながら修正を重ね、デザインを完成させていきます。
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建築デザイナーになる方法
建築デザイナーになるには、建築系の学校で学ぶ、建築会社やデザイン事務所に就職する、ハウスメーカーに就職するといった方法があります。
具体的には、以下のような手順を取るのが一般的です。
学校で学ぶ
建築の専門学校や美術大学の建築コースで学び、建築デザインの知識や技術を身につけておけば、その後の就職がしやすくなります。
資格の取得やポートフォリオの作成なども行なっておくと良いでしょう。
建築士資格の取得を希望する場合、国家試験の受験には大学や専門学校での履修など一定の条件が課せられているので、進学や進路決定の際には学校や学部の情報をしっかりと把握しておきましょう。
建築やデザイン系の大学・短大・専門学校では、インテリアコーディネーターやインテリアプランナーなどの資格取得を後押ししてくれるところも多いです。建築や住宅に関する資格の取得は、建築デザイナーとして就活する際に役立つでしょう。
建築会社やデザイン事務所に就職する
建築関連会社やデザイン事務所に就職すれば、建築デザイナーとして活躍するチャンスが生まれます。この場合、クライアントの依頼を受けて建築デザインを行うことになるでしょう。
ただし、就職してすぐにデザイナー業務を任されることは難しく、先輩デザイナーに付いて経験を積む下積みの期間が必要となります。また、中には就職後の試用期間が設定される場合もあります。
ハウスメーカーに就職する
ハウスメーカーに就職し、専属の建築デザイナーとして働くのもひとつの方法です。この場合は、主に個人住宅のデザインを手掛けることになるでしょう。
ハウスメーカーの場合は、顧客との直接的な打ち合わせが行われることも多いので、高いコミュニケーション能力も問われます。
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建築デザイナーに求められる資格や試験
先述のように、建築デザイナーに必須となる資格や試験はありません。ただし、建築士の資格は、建築デザイナーの仕事内容に大きく関わるものであり、就職時には建築士の資格保有を求められる場合もあります。
そこでここでは、取得をオススメする建築士資格の中でも一級建築士と二級建築士の概要についてご紹介します。
建築士資格(一級建築士・二級建築士)とは
●一級建築士
一級建築士は、建築士系の資格の中でも最も難易度が高いとされている国家資格。取得者は幅広い建築設計を手掛けることができ、面積500m2以上の大規模建築、または高さ13m以上の木造建築の設計も可能です。
ただし、受験には大学等で指定の指定科目を履修していることなど受験資格が定められています。
●二級建築士
二級建築士は、建築基準法により定められている国家資格。取得することで、戸建住宅をはじめとした、規模が小さな建築物の建築設計を手掛けることができます。
一級建築士に比べると受験資格はやや緩く、扱える建築物の条件は限られています。
比較すると、一級建築士は難易度の高い資格ですが、二級建築士のように建築規模に制限がありません。大規模な建造物を手掛けたいなら一級建築士の資格が必要ですし、都市開発を行う企業などへの就職も有利になります。
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難易度や試験について
一級建築士の難易度や試験について
2021年(令和3年)に実施された一級建築士試験の総合合格率は9.9%。学科試験合格率は15.2%、製図試験合格率は35.9%でした。学科と製図を合わせた合格者は10人にひとりとなり、難易度はかなり高い試験と言えます。
まずは学科試験の突破を目指し、その後に製図試験の合格を目指すことになり、数年かけてのチャレンジとなる場合も多いようです。
試験の詳細については、以下の表をご覧ください。
受験日程 | 学科7月/製図10月 |
受験料 | 19,700円(その他事務手数料がかかる場合あり |
受験場所 | 各都道府県指定場所 |
試験内容 | 学科(四肢択一)・設計製図 |
試験時間 | 学科6時間30分/製図6時間30分 |
受験資格 | ①大学、短期大学、高等専門学校、専修学校等において指定科目を修めて卒業した者
②二級建築士 ③建築設備士 ④その他国土交通大臣が特に認める者(外国大学を卒業した者等) |
合格条件 | 各科目において合格基準点を上回っていること |
二級建築士の難易度や試験について
2021年(令和3年)に実施された二級建築士試験の総合合格率は23.6%。学科試験合格率は41.9%、製図試験合格率は48.6%でした。
試験の詳細については、以下の表をご覧ください。
受験日程 | 学科7月/製図9月 |
受験料 | 17,700円(その他事務手数料がかかる場合あり) |
受験場所 | 各都道府県指定場所 |
試験内容 | 学科(五肢択一)・設計製図 |
試験時間 | 学科6時間/製図5時間 |
受験資格 | ①大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、専修学校、職業訓練校等において、指定科目を修めて卒業した者
②建築設備士 ③その他都道府県知事が特に認める者(外国大学を卒業した者等) ④7年以上の建築実務経験があること |
合格条件 | 各科目において合格基準点を上回っていること |
※2020年(令和2年)より受験資格が改正されています。
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今後の建築デザイナーの将来性
近年、建築に求められる要素は多様化しており、デザイン性はもちろん、サステナビリティ化やバリアフリー化、さらに建材の健康志向などが高まっています。
また、大規模施設はもちろん、個人宅においても、こだわりを持って建築を行うケースが増えているようです。
このような傾向があるため、今後も建築のプロとして、建築デザイナーが担う役割は非常に重要であると考えられます。よって、将来性も期待できるでしょう。
ただし、建築デザイナーとして、第一線での活躍を続けるためには、斬新なデザインやアイディアを常に出し続けなくてはなりません。建築に関する知識を深めたり感性を磨いたりといった努力は、末永く続けていきましょう!
建築デザイナーになれる専門学校はこちら建築デザイナーの就職先
建築デザイナーの就職先としては、個人建設事務所や工務店、デザイン事務所などの建築系会社、または個人住宅を作るハウスメーカー、そして大規模な建築を手掛ける総合建設会社などが挙げられます。
建築系会社やハウスメーカーでは、個人宅を中心に、店舗や施設など、比較的小規模な建築を手掛けることになるでしょう。一方、総合建設会社に就職した場合には、商業施設や企業ビル、マンションなど、大規模な案件に携わることになります。
このように、どんな会社に就職するかによって扱う建築物は違い、その作風にも差があります。建築デザイナーとして就職先を選定する際には、自身の目標や好みに応じて慎重な検討をしましょう。
また、建築デザイナーは、独立して自身で会社を起こしたり、フリーデザイナーとして活動したりすることもあります。
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建築デザイナーの平均年収・MAX年収
正社員で働く建築デザイナーの平均年収は、450万円ほどだと言われています。
現在の日本人の平均年収が440万円ほどであることを考えると、平均的だと言えるでしょう。ただし、中には年収1,000万円近くになる建築デザイナーもいるようです。
厚生労働省による令和3年賃金構造基本統計調査によると、建設業の平均年収は約547万円。従業員数100人以下の企業では約456万円、1,000人以上では約768万円と開きがあり、会社の規模、手掛ける案件などで収入に大きく差がつきます。
また、建築デザイナーの世界は実力社会であるため、実績や人気によって大きく年収が変わります。年収アップを目指すなら、実績を伸ばすことはもちろん、資格を取得するのも有効でしょう。
建築士などの資格を有しているほうが、建築デザイナーとしても年収が高くなる傾向にあります。建築士の資格を持つことは、独立して自分で事務所を設立したい場合にも役立つでしょう。
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建築デザイナーに向いているのはこんな人
建築デザイナーは、建築全般に関わる仕事です。そのため、建築やデザインはもちろん、設計にも興味や知識がある人は、この仕事に向いていると考えられます。
また、優れた建築物を作るためには、芸術的センスも求められます。よって、高い感性や独創性を持っている人も、建築デザイナーに適していると言えるでしょう。画力にも長けていれば、よりイメージがクライアントや製作チームに伝わりやすくなります。
さらに、建築デザイナーにはコミュニケーション能力も求められます。クライアントのニーズを汲み取ったり、仕事を行うチームと綿密な打ち合わせを行ったりする必要があるためです。
加えて提案力やマネジメント力にも優れていれば、その能力はプレゼンテーションやスケジュール管理などの実務に役立つでしょう。
近年は女性の社会進出が進んでいることから、女性の目線に立った建築や内装デザインも今後さらに重要になります。
個人住宅の場合でも、相談のしやすい女性建築デザイナーを求める声は多く、女性の活躍できる職業としても建築デザイナーは注目されています。
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建築デザイナーに関連する職業や資格
建築デザイナーに関連する職業
建築デザイナーに関連する職業としては、以下のようなものが挙げられます。
- 建築士
- インテリアデザイナー
- インテリアコーディネーター
- インテリアプランナー
- 空間デザイナー
- 設計士
- 建築設備士
- 建築模型士
- 家具職人
建築物には、建築デザイナーとともにこのような職種の人々が関わっています。建築デザイナーは主に建築物の外側を手掛けるため、その内部にはインテリア関連のデザイナーやコーディネーターが入ることも多いようです。
建築デザイナーに関連する資格
建築デザイナーに関連する資格には、先ほどご紹介した建築士の他に、以下のようなものが挙げられます。
- 木造建築士
- インテリアコーディネーター
- インテリアプランナー
- 測量士
- 宅地取引主任者
- 商業施設士
- CAD利用技術者試験
- 建築CAD検定試験
- カラーコーディネーター
- 色彩検定
建築関連の資格は、設計に関するものからインテリアに関するものまで多く存在します。また、設計に役立つCADの知識や色彩に関する知識もあれば、より幅のある働き方ができるでしょう。
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