臨床検査技師になるには

  • 2019.12.25
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臨床検査技師の概要や仕事内容

臨床検査技師とは?

 「臨床検査」とは、医師の指示のもと、患者さんの身体の異変を知るために機能や細胞・組織などの状態を調べる目的で行う検査です。
 正常な状態の数値とどれほど違うのかなど、臨床検査によって得た情報をもとに患者さんのデータを作成して、診察や治療に役立てるのが「臨床検査技師」です。臨床検査技師になるためには国家資格を取得しなければなりません。

 臨床検査には「検体検査」と「生体検査(生理機能検査)」があります。
 検体検査とは血液や髄液、尿、便、細胞など患者さんから採取した「検体」をもとに体の状態を調べる検査のことをいいます。
 生体検査は患者さんの体に直接医療機器などで触れて行う検査です。超音波検査(エコー)や心電図検査、呼吸器機能検査などが主な生体検査です。

 「〇〇技師」と言えば臨床工学技士や診療放射線技師などがありますが、これらは全て“縁の下の力持ち”的な存在で、元々は医師が行っていた業務を技術の高度化や高い専門性を求められることなどから専門職として形成されたものです。
臨床工学技士は血液透析装置や人工呼吸器などの操作や医療機器のメンテナンスを、診療放射線技師はX線などを用いて検査や治療を行います。
この様に同じような名前でも専門が異なるということになります。臨床検査技師と同様に国家資格が必要ですので、資格なしに業務を行うことはできません。

臨床検査技師の仕事内容とは?

 前述しましたが臨床検査技師の業務は検体検査と生体検査です。
 それぞれの業務についてもう少し詳しくみていきましょう。

 ●検体検査
  患者さんから取り出す検体には色々な物質が含まれています。
  病気になると血液や尿などの成分が変化したり、細菌が出てくることがあります。
  この変化などを知ることによって、診察に役立てることができます。
  検査の種類には次のようなものがあります。
   ・一般検査:尿や便、痰、髄液などの検査
   ・血液検査:貧血や白血病、炎症の検査
   ・血清検査:感染症の検査
   ・生化学検査:肝機能、腎機能などの臓器の検査
   ・腫瘍マーカー:がん細胞が作り出す特殊な物質の検査
   ・病理検査:がん細胞の有無を調べて種類を特定する検査
   ・細菌検査:感染を起こしている細菌の検査
   ・輸血検査:血液型や輸血製剤などの検査

 ●生体検査
  生体検査では、診療機器を使うことによって直接身体の情報を得ることができます。
  生体検査の種類には次のようなものがあります。
   ・心電図検査:不整脈(脈の乱れ)や胸の痛み、動悸などの症状を診断するために行う検査
   ・肺機能検査:息を吸ったり吐いたりして、息を吸う力や吐く力、酸素を取り込む力、肺内のガス濃度などを測定し、肺の機能を調べる検査
   ・超音波検査:超音波を体に当てて、その反射波を映像化することによって臓器の大きさや病態の有無を調べる検査
   ・脳波検査:脳が活動するときに出る微弱な電気信号を頭皮上から記録し、脳の動きを調べる検査
  他にも呼吸機能検査や神経機能検査、聴力検査、MRI検査、眼底検査など、様々な検査を行います。

 これらの検査を行うことによって病気の原因を調べたり治療方針を決めたり、病気の進行度を知ったり、薬の副作用や治療の効果を調べたりすることができるのです。

臨床検査技師になる方法(資格取得方法等)

 臨床検査技師になるには国家試験に合格しなければなりません。
 そして国家試験を受けるためには受験資格を得る必要があります。
 受験資格は次の条件を満たした人が得ることができます。
  ・臨床検査技師養成課程のある大学、短大、または専門学校で養成課程を修了している者(見込みも含む)
  ・大学で医学・歯学の正規課程を修了したもの(同)
  ・獣医学・薬学・保健衛生学の正規課程と、臨床生理学などの所定科目を修了した者(同)
 他にも医師や歯科医師、特定の科目を修了している獣医師や薬剤師も対象となっています。
 

資格難易度や試験について

試験について

 臨床検査技師の国家試験は毎年2月頃に行われており、合格率はおおよそ70~80%となっています。
 2019年の合格率や75.2%で、新卒者だけの合格率は86.5%でした。
 新卒者であれば合格率は高めですが、既卒者だけだと30%ほどに合格率が下がってしまいます。理由としては試験内容が学校で学んだことを中心に作成されるため、学校で学んだばかりの新卒者のほうが合格しやすい傾向があるからだそうです。

 ●試験の概要
※下記は2019年度の日程です。
  受験書類の配布:2019年10月下旬~
受験書類は臨床検査技師国家試験運営本部事務所または厚生労働省医政局医事課試験免許室に郵送で請求するか、臨床検査技師国家試験運営臨時事務所の窓口で請求する。

  受験書類の受付:2019年12月16日(月曜日)から2020年1月6日(月曜日)までに臨床検査技師国家試験運営本部事務所に郵送で提出、または臨床検査技師国家試験運営臨時事務所に直接持参し提出する。

試験期日:2020年2月19日(水曜日)

  試験地:北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県及び沖縄県

  試験科目:医用工学概論(情報科学概論及び検査機器総論を含む)
公衆衛生学(関係法規を含む)
臨床検査医学総論(臨床医学総論及び医学概論を含む)
臨床検査総論(検査管理総論及び医動物学を含む)
病理組織細胞学
臨床生理学
臨床化学(放射性同位元素検査技術学を含む)
臨床血液学
臨床微生物学
臨床免疫学
この中から200問(1問1点)出題され、120点以上で合格となります。

  合格発表:2020年3月23日(月曜日)

今後の臨床検査技師の将来性

 最近では健康診断やがん検診など、健康な人が病気の予防のために行う検査が増えてきています。
 そのため超音波検査などが求められることが多いのですが、超音波検査を行えるのは法律で認められている資格者でないと行うことはできません。
 臨床検査技師は有資格者であるため、超音波検査を行うことができますし、専門性を高めたい場合は「超音波検査士」の資格を取得することも可能です。超音波検査士になればさらに需要が高まると考えられます。

 また、病院だけでなく医療機器メーカーなどからの求人もあることから、就職先が少ないとは言えませんし、看護師が行っていた検体採取や検査の説明などを臨床検査技師が行うといった病棟業務もこの先増えていくのではないかと考えられています。
 このように病院など医療機関における活躍の場が増えるだけでなく、企業での活躍の場もありますので、臨床検査技師の将来性はあると言っていいと思います。

臨床検査技師の就職先

 では具体的にどのような就職先があるのかチェックしておきましょう。

 ●医療機関(病院・クリニックなど)
  病気の診断を行うのに必要とされているため、大病院などには必ず臨床検査技師が勤めています。もちろん、個人病院などで活躍する人もいます。
  他にも医療機関から検体が集まってくる「検査センター」や企業の健康診断などを行う「健診センター」や「人間ドッグ」といった検査機関などがあります。

 ●公務員
  公務員試験に合格すれば保健所や国立病院・県病院などで働くことも可能です。
  保健所に就職した場合は食品営業施設の許認可や衛生確認、食中毒が発生した場合の検査、施設に対する指導などが業務になってきます。

 ●大学、企業など
  臨床検査技師の知識・経験を活かして大学で研究職や教員として働く人や、医療機器メーカー、製薬会社で働く人もいます。企業で働いた場合は医療スタッフに対する商品説明などを行うこともあります。

臨床検査技師に向いているのはこんな人

 臨床検査技師は採血や生理検査などが業務に含まれるため、患者さんと接する機会があります。採血や生理検査をされる患者さんは検査自体が辛かったり、病気のことを考えて不安になったりすることがありますので、患者さんに寄り添って優しく話しかけてあげられる人が向いていると考えられます。

 また、機械化をすることが難しい「顕微鏡検査」は、人の目で検体を顕微鏡でのぞいて隅から隅まで検査して異常を確認していく作業になります。このような細かい確認などの作業が得意な人は特に職場においては重宝されるようです。
 同時に、日々進歩する医療分野を常に学びたいと思う向上心がある人、知的好奇心がある人であることが望ましいとされています。

臨床検査技師に関連する職業や資格

関連する職業

 臨床検査技師は医師の指示のもと検査を行います。
 そのため病院で臨床検査技師の業務を行う場合は必ず関連する職業として医師が挙げられます。
 また、最近は「チーム医療」と言って様々なジャンルの医療従事者が協力して患者さんの治療に当たることから、看護師や薬剤師、作業療法士、保健師など、患者さんによって色々な医療従事者が関連してきます。
 患者さんの治療を行うにあたって、誰がどの役割なのかを把握しておくことが大切です。

関連する資格

 生理学や血清学に特化した「一級・二級臨床検査士」、指導医の監督指導のもと細胞診スクリーニングの業務や緊急臨床検査の業務を正しく行いうることを日本臨床衛生検査技師会が認める「細胞検査士」「緊急臨床検査士」など、臨床検査技師の資格を持っている人はスキルアップする資格を取得することができます。
 他にも臨床検査技師が資格要件である「超音波検査士」や「治験コーディネーター」など、様々なスキルアップ資格があります。
 自分がどこに就職したいのか、どの分野に専門性を置きたいのかによって資格を増やしてみるのも良いかもしれませんね。

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